<わたしの糧ことば・特別編>1児の親・作家 山崎ナオコーラさん

(2018年3月7日付 東京新聞朝刊)
写真は1児の親で、作家の山崎ナオコーラさん

1児の親で、作家の山崎ナオコーラさん(写真は2016年夏、本人提供)

あんたのためにということばは いついかなる時も美しくない

 大好きな漫画家、大島弓子さんの「サバの秋の夜長」に出てくるフレーズです。猫の世話に関する作者の言葉ですが、子育てにも言えると思っていて。「子どものために」というと押し付けがましく、きれいごとになりがち。「私がやりたくないから、やらない」などと思うようにしてます。

 子どもを育てていると、親が競争するような場面が多いなと感じます。保育園は入れる枠が少なく、椅子取りゲームみたい。うちの子も昨年、保育園に入れませんでしたが、私は「枠が少ないなら、他の人に取られてもいいや」と。自分に期待していないからです。

 多くの親が子どもに最善の場を与えようと頑張りますが、私はそこまでいい環境は作れない。自分もこれまでいい場所になかなか行けなかったけど、不幸ではないので、たとえ希望通りにならなくても、人生はそこそこ幸せかなと思います。

やまざき・なおこーら

 福岡県生まれ。2004年に「人のセックスを笑うな」で文芸賞。2017年にエッセー「母ではなくて、親になる」(河出書房新社)刊行。

 

糧ことば

 人生の先輩などから言われて救われた子育てに関する言葉。共有することで、独りぼっちで悩みがちなママたちの心を少しでも軽くしたい-との願いを込め、広告会社・博報堂の「リーママプロジェクト」のメンバーが名付けた。東京新聞では2016年9月から2年間、読者から寄せられた「わたしの糧ことば」を連載。著名人による特別編も5回掲載した。

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