コロナが心配でも、赤ちゃんの予防接種は予定通り受けよう 「BCGが効果」は確証なし ワクチンに詳しい小児科医が解説
通常診療と予防接種、分けている病院もあります
緊急事態宣言による外出自粛が求められていますが、医療機関受診のための外出は認められています。初めて接種を受ける場合は自治体が公開している「予防接種協力医療機関リスト」で近くの小児科を探してください。予防接種を通常の診療時間と分けている医療機関もあり、病気の人と一緒になることがなく安心です。小児科医に電話で相談し、指定された時間帯に受診してください。
予防接種には、生後2カ月から接種できるB型肝炎、ヒブ(インフルエンザ菌b型)、小児用肺炎球菌、ロタウイルスのほか、四種混合、BCG、MR、みずぼうそうなど多くのワクチンがあります。予防接種法に基づいて市区町村が主体となって実施する定期接種(公費負担により無料)と、個人の責任で接種を受ける任意接種があります。任意接種だからといって、重要性が劣るわけではありません。
救済措置よりも、スケジュール通りの接種が大事
菅谷医師は「例えばヒブワクチンは、子どもが感染すると重い障害が残る可能性のある『細菌性髄膜炎』を予防します。通常は4~8週間隔で3回、3回目から7か月以上あけて1歳になったらすぐに4回目を接種します。生後2カ月からの接種が重要なのは、妊娠中にお母さんからもらったヒブに対する免疫(移行抗体といいます)は、この時期には低下し、ヒブによる感染症を起こす危険があるからです」と説明します。それぞれのワクチンに接種に適した時期や、タイミングがあることを知っておきましょう。
◇予防接種のスケジュールは「VPDを知って、子どもを守ろうの会」がホームページで詳しく説明しています。スケジュール表のPDFもダウンロードできます。→こちら
自治体によって定期接種の期間に接種できなかった人に対する救済措置の検討がされているようです。しかし、VPDの会は、救済措置の前に、スケジュール通りに接種できるようにすることが重要と考えているとのこと。新型コロナウイルス感染症の流行期にもVPDの発症は報告されています。VPDに罹患する前に接種を終わらせておくことが重要です。
BCGは乳児が接種する分しか生産されていません
SNSなどでは「BCGワクチンが新型コロナウイルスの重症化予防に効果がある」という情報が拡散されています。菅谷医師は「現時点では医学的な確証はありません」ときっぱり。この情報に基づき、大人がBCGワクチンを接種しようとするケースも出ていますが、日本小児科学会も成人や高齢者の接種について「強い接種局所反応などの副反応が出現する可能性があります」と注意を呼びかけています。また、日本では、BCGは乳児に接種する分しか生産されていません。成人の接種希望が増え、乳児が接種できない状況になれば、乳児が亡くなったり、一生ハンディキャップを負うような重症結核にかかるリスクが増えます。
最後に菅谷医師は、今回質問をくれた保護者に対し、「子どもが小さければ小さいほど、外に連れ出すことに抵抗があると思いますが、新型コロナウイルス同様、ほかの重大な疾病を引き起こすウイルスや細菌も、待ってはくれません。お子さんが生後3カ月なら、まだ、通常のスケジュールで予防接種を受けていくことが可能です。急いで近くにかかりつけの小児科医を探し、電話で相談してください」とアドバイスをくれました。
「VPDを知って、子どもを守ろうの会」ではホームページでワクチン接種の必要性、かかりつけ医の探し方を紹介しています。
日本小児科学科会も「Q&A」で「乳幼児健診や予防接種を遅らせたほうが良いですか?」などの質問に答えています。