母子感染が怖い「風疹」なくしたい 抗体検査やワクチン接種、ピジョンなどが独自の取り組み

(2020年2月25日付 東京新聞朝刊)
子育て世代がつながる
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ピジョンの講演会で話す西村麻依子さん=東京都中央区で

 2018年夏から国内で流行が続く風疹。妊婦が妊娠初期に感染すると、胎児が先天性風疹症候群(CRS)にかかり、目や耳、心臓などに障害が出る恐れがある。主な感染源は、ワクチンの定期接種の機会がなかった40~50代の男性とされるが、免疫の有無を確かめる抗体検査やワクチン接種は進んでいない。そうした中、独自に「風疹ゼロ」に取り組む企業が出てきている。 

妊娠初期に感染 娘に発達の遅れ

 発熱や発疹などの症状が出る風疹は感染力が強く、くしゃみやせきのしぶきでうつる。国立感染症研究所によると、2018年の患者数は2946人で前年の30倍以上。2019年も2306人に上る。昨年から今年にかけてCRSも5例確認されている。予防にはワクチン接種が有効だ。

 「娘は宝だが、妊娠中の無知への後悔は消えない」

 昨年末、東京都中央区の育児用品メーカー「ピジョン」であった、風疹とCRSを知る講演会。社員ら約60人を前に訴えたのはCRSの当事者団体「風しんをなくそうの会『hand in hand』」共同代表で保育士の西村麻依子さん(37)だ。

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 西村さんの小学1年の娘はCRSで発達の遅れと強い乱視がある。妊娠初期にかかった風疹が原因だが、感染経路は不明。障害を心配する知人らからは中絶を迫られて傷ついた。「赤ちゃんのCRSは大人の責任」と、抗体検査やワクチン接種を呼び掛ける。参加した鳥海純哉さん(34)は「3人の子の父だが、これまでは関心がなかった」と反省。すぐ検査を受け、周囲と情報を共有すると約束した。

定期健診の「ついで」で負担削減

 ピジョンは「赤ちゃんとママに関わる企業の責任」として、今回の流行が始まった18年から「風疹ゼロアクション」を開始した。全従業員約500人に抗体検査とワクチン接種を呼び掛け、昨年十月からは受診費用の全額を負担している。

 自動車用触媒メーカー「キャタラー」(静岡県掛川市)は、2015年に社員が風疹を発症した際、妊娠中の社員の出勤を免除したり、300万円をかけて社内で集団接種をしたりした。その結果、582人がワクチンを接種。接種済みの人は全社員の9割に当たる818人になった。その後も希望者への集団接種を定期的に実施。今春からは年1回の定期健診の採血時に抗体検査を行う。同社保健師の糟谷恭子さん(43)は「定期健診の『ついで』なら負担でない」と話す。

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「対象世代の男性は自分のこととして考えて」と呼び掛ける可児佳代さん

 企業が対策に力を入れる背景には、社内で感染が広がれば経営に影響が出かねないという懸念もある。ただ働き盛りの40~50代男性が抗体検査、ワクチン接種と2度にわたって職場を抜けるのは難しい。「なくそうの会」共同代表の可児佳代さん(66)は「企業独自の取り組みは心強い」とした上で「対象世代の男性も風疹を自分のことと考えて行動して」と話す。

抗体保有率が低い「谷間世代」 40~50代男性はワクチン接種を

 40~50代の男性の抗体保有率が低いのは、国の制度の変更で、定期接種の機会がなかったためだ(表を参照)。そこで、厚生労働省は、「谷間世代」とも言うべき40~57歳(1962年4月2日~1979年4月1日生まれ)の男性の保有率アップに取り組む。同省によると現在は80%程度だが、2020年7月までに85%、2021年度末までに90%にするのが目標だ。

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 2019年度は、抗体検査とその後のワクチン接種を無料にするクーポンを、40~47歳の男性約646万人に配った。だが、昨年11月末までに抗体検査を受けた人は約16%にとどまる。新年度は48~53歳の男性約570万人にクーポンを配るほか、キャタラー社のように職場の健診時に検査できるようにすることも目指す。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2020年2月25日

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