妊婦さん風疹から守りたい 川崎市が啓発バッジを母子手帳と一緒に配布

大平樹 (2018年9月14日付 東京新聞朝刊)

市が妊婦に配っている缶バッジ=市役所で

 首都圏で風疹の患者が増える中、川崎市が予防接種を呼び掛ける缶バッジを妊婦に配っている。妊婦にバッジを身に着けてもらい、周辺にいる人や、患者が多い中高年男性などに検査と予防接種を受けるよう促すのが狙い。

妊婦感染で胎児に難聴などのリスク

 風疹は、妊娠中に感染すると、胎児が難聴や白内障になるリスクがあるとされる。市内の患者数は過去3年、1けたで推移してきたが、9日時点で17人。

 市感染症対策課によると、缶バッジは、首都圏で患者が増える以前の6月に700個作製。母子手帳を交付する際、妊婦に無料で渡している。

 フクロウのようなキャラクターのイラスト「まえにさん」に、妊娠前の風疹検査を呼び掛ける文言を添えた。同封のチラシは、風疹に対する免疫検査は無料で、予防接種は自己負担3200円で受けられると伝えている。

夫やパートナーが感染リスク知って

 胎児に影響が出るため妊婦は受けられないが、母子手帳を配る際に呼び掛ける狙いを、同課の担当者は「第2子、第3子を望む人は、出産後に受けるべきだ。夫やパートナーも感染リスクを知ってほしい」と説明。予防接種は本来約1万円かかるが、市民には市が独自で補助している。全国的に流行した2013年以降、市民約3万人が予防接種した。

 感染症に詳しい市健康安全研究所の岡部信彦所長によると、風疹は約38度の熱と発疹が同時に4~5日続く。「三日ばしか」とも呼ばれ、40度近い熱が出るはしかに比べて症状が軽く、安静にしていれば治りは早い。一方で、出勤できないほど症状が重くないこともあり、職場で感染する人が多い特徴がある。

 国内では、免疫を確実につけるため、1歳と小学校入学前の2回予防接種する制度が06年4月に始まった。これ以前は免疫が不十分な人もいるとみられ、今年の患者は男性が約8割を占める。中でも40代が最も多い。岡部所長は「風疹は次の世代への影響が大きく、長い目で見たら根絶したい病気だ。流行していない時も予防接種を勧めていきたい」と話した。

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