「ママ、おなか痛い」 娘の言葉の裏側にあったホントの気持ち
ママ、おなか痛い。
元気が取りえの5歳の次女が突然言い出しました。
「アイスの食べ過ぎじゃない?今日はアイスやめようね」。そう言ってやり過ごした次の日。「ママ、今日は保育園でおなかが痛くておやつ食べられなかったの」と夕食前に教えてくれました。2日連続でおなかが痛いのは珍しい上、大好きなおやつを食べなかったというのはただ事ではない。ノロウイルスかな、夜中に吐いたりしないかな、と心配して早めに布団に入ろうねと約束しました。
次女の様子を夫にLINEで知らせると「何か嫌なことでもあったんじゃないか?」と意外な一言が返ってきました。「おねえちゃんはよくあったじゃん、この時期」
夫の助言にまさかと思いつつも嫌な予感が走り、すぐに次女に聞きました。「保育園で何か嫌なことでもあった?」
すると「男の子におなかを押されたの、いやだったの」と悲しい顔で教えてくれました。保育園の先生やお母さんたちからも「Mちゃん、いつも笑顔でかわいいね」と褒められる自慢の娘の寂しげな声に驚くと同時に、「なぜ気づけなかったのだろう」という気持ちが強く芽生えました。
話を聞いていくうちに、次女の笑顔の裏に隠された秘密がわかりました。「プリキュアごっこをお友達としていたら、男の子たちが仮面ライダーになって攻撃してきたの。わたしのおなかを押して攻撃したの、いやだった」。「嫌なことされたらすぐにやめてって言わないとだめだよ」といつも通りの言葉を返した私に、次女は涙目で伝えてきました。「やめてって言ったらおともだちがいやな気持ちになるよ、おともだちやめるって言われたらどうするの。みんなにこにこしてるMちゃんのことが好きなんだよ」
いつも元気なのが自分のキャラクターと本人も自覚していて、みんなに嫌われたくなくて、気持ちをしまい込んで笑顔を見せていたのか、と母親である私は初めて気が付いたのです。
翌日、保育園の先生に相談すると、5歳という年頃ならではの背景があることを教えてくれました。だんだんと特定の仲良しグループができ、友達という他者の存在を意識するようになるのがこの年頃。「あえて自分の気持ちを表現しない子が多くいるんです。みんなに目を配っているつもりだったのですが、Mちゃんもそうだったんですね。嫌な思いをさせてしまって」と言ってもらい、そうだったのか、と思いました。
子どもは自分の分身ではない別の人格、とわかっていたものの心のどこかで「私は娘の気持ちがすべてわかっている」と思い込んでいました。
お世話に手がかかる乳児期を過ぎ、少し母親業が楽になったわ、なんて思っていましたが、体の変化とは異なり、心の成長は大きさも形も状態も見えない分、日々の慌ただしさの中で見過ごしていました。5歳の女の子が何を考えどう感じているのか、毎日手をつないでいてもわからないものだなとあらためて思いました。
私は私、娘は娘。それぞれ違う、ひとりの人間なんですね。
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