小金井市立保育園3園の「廃園」どうなる 保護者との協議を求める陳情、市議会が採択
花井勝規 (2021年9月28日付 東京新聞朝刊)
東京都小金井市が7月下旬、5園ある市立保育園のうち3園を廃園する方針を打ち出したことを巡り、市議会は27日、保護者らとの協議を求める陳情を全会一致で採択した。陳情は、突然の廃止方針に反発した保護者らが6000人余の署名を添えて提出した。廃園方針を巡り混乱を招いているとして、市に「猛省を求める決議」も賛成多数で可決した。
10月9日から保護者への説明会開催
廃止対象の保育園は、さくら(貫井北町)、くりのみ(東町)、わかたけ(前原町)の3園。いずれも昭和40年代に建てられた。小金井市はまずは、さくら、くりのみの2園を2027年春に廃園する計画だったが、手続きの遅れから、0歳児の募集停止や廃園の1年延期を今月上旬に表明。保護者には説明会を10月9日から開くと通知した。
陳情は、利用者との十分な協議や理解がないままに園児の募集停止など保育園の廃園に向けた準備を中止するよう求める内容。市立保育園の在り方について、市民参加による審議会での議論を提案している。
市議会への陳情者で、昨年度のくりのみ保育園父母の会会長を務めた古山良地(ふるやまりょうじ)さん(44)は「市と利用者の対話が必要なことを市議会が理解してくれたのはうれしい」と陳情採択を歓迎した。説明会の開催が廃園の既成事実化に向けた「口実にされるのではないか」との懸念も示した。
3園の廃園方針や0歳児募集停止の撤回を求める要望書の署名活動をしている「さくら保育園・くりのみ保育園父母有志」の代表、葛窪(くずくぼ)千晴さん(33)は「市議会の中でも廃園の是非については意見が分かれているが、性急で乱暴な市のやり方にあきれている議員は多い。市は利用者と話し合いながら方向性を決めるべきだ」と語った。