市立保育園の廃園をめぐり、小金井市が条例改正案を専決処分 市議から批判「議会軽視だ」 市長の不信任案提出へ

花井勝規、梅野光春 (2022年9月30日付 東京新聞朝刊)

 

東京都小金井市が廃園計画を進める「市立くりのみ保育園」=同市で

 東京都小金井市は29日、市議会で継続審議となっている市立保育園の一部廃園のための条例改正案について、議決を経ずに改正する専決処分を行ったと発表した。西岡真一郎市長は「市の持続可能な未来と子どもたちのため苦渋の決断をした」とコメントを発表。市議からは「議会軽視の暴挙」「専決処分の要件を満たさないのでは」との声も上がっている。

「説明を尽くした」「今月中の改正が必要」

 小金井市は昨年7月、市立保育園5園のうち一部を廃園する方針を表明。今月の市議会定例会に、老朽化した2園で来春から0歳児の募集を止め、段階的に廃園するための市保育園条例改正案を提出した。

 しかし、市議会厚生文教委員会は27日、「議論を尽くすため、専門家からの意見聴取が必要」などと継続審議を決定。来月7日の会期末までの条例案可決・成立は難しくなっていた。

 市は今回の専決処分に「市議会には1年以上かけて説明を尽くした」と釈明。来春から募集停止にするには今月中の条例改正が必要とし、「議会において議決すべき事件を議決しないとき」に専決処分ができると定める地方自治法第179条第1項に当たると判断したという。

識者の声「今回は審議が望ましいのでは」

 地方自治法は、こうした専決処分後に議会の承認を得るよう定めている。市議会からは「議会を軽視している」と市の姿勢へ批判が噴出。一部市議は西岡市長に対する不信任決議案を提出する準備に入った。

 島根県立大の岩本浩史教授(行政法)は「専決処分は地方自治法で認められているものの、補充的で例外的な手段。条例改正では、国の法改正に伴う形式的なケースでしばしば使われるが、今回の事例では審議を経て改正するのが望ましいのではないか」と話している。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2022年9月30日