市立保育園の廃園条例の専決処分に非難相次ぐ 小金井市議会で全員協議会 傍聴の市民「あり得ない。市は一線を越えた」
花井勝規 (2022年10月3日付 東京新聞朝刊)
小金井市の西岡真一郎市長が、市議会の議決を経ないで、市立保育園の一部廃園のための条例を改正する専決処分を行ったことを巡り、小金井市議会は9月30日、全員協議会を開いた。西岡市長が出席し理解を求めたが議会側の反発は強く、3日に引き続き市側の姿勢をただすことになった。
「民主主義の破壊」「議会無視の行為」
小金井市が市議会9月定例会に提出した条例改正案は、厚生文教委員会が「専門家らの参考人招致が必要」として継続審議を決定。この日の全協では、市の専決処分に市議から「議会制民主主義を破壊する」「議会無視の重大行為だ」などと非難する声が相次いだ。
西岡市長は「廃園のためのスケジュールから考えると、9月中に議決をいただかなければ間に合わなかった。入園希望者に迷惑がかかる」などと説明。地方自治法が定める「議会において議決すべき事件を議決しないとき」との専決処分の要件を満たすとし、「専決処分を決断した」と理解を求めた。一方、市側は「公共施設の廃止条例の専決処分の例は確認できなかった」とも報告した。
専決処分が「違法」とされた自治体も
一連の問題は市民の関心を呼び、この日は市民ら十数人が傍聴した。「議会で審議中だった条例改正案を専決処分するなんてあり得ない。市は一線を越えてしまった」(40代男性)など市の対応を疑問視する声もあった。
自治体の専決処分は、過去には千葉県白井市の市長が行った専決処分が「議会が議決しないとき」に当たらず違法とする判決が確定したケースもある。今回の小金井市の対応は近隣自治体の首長も驚きを持って受け止めている。