園バス置き去りを住宅用ドアホンで防止 車内から園児がSOS 相模原市で実証実験「かなり有効」
古川雅和 (2022年10月8日付 東京新聞朝刊)
静岡県牧之原市の認定こども園で9月、通園バスに取り残された園児が熱中症で死亡した事故を受け、神奈川県相模原市はバス内に設置したワイヤレステレビドアホンを使って取り残しを防ぐ実証実験を行った。園児がボタンを押して「助けて」と伝え、教員は園舎のモニターでSOSを受け取った。同市担当者は「かなり有効な方法だと確認できた」と評価した。
園舎のモニターで確認 距離は100m
実証実験は4日、園児21人のうち17人が3台のバスで通園する市立ふじの幼稚園(緑区)で行われた。運転席の背もたれ部分に、住宅の玄関で使われるテレビドアホンのカメラを園児が乗る座席側に向けて設置。使い方を教わった園児がボタンを押すと、園舎から教員がモニター越しに姿を確認し、「どうしたのかな」と会話ができることを確かめた。モニターはバス側から連絡がなくても車内の様子を確認できる。
テレビドアホンとモニターで通話できる距離は100メートル程度。1セット約2万円で購入できる。配線工事は必要なく、インターネットは使わない。ただ、間に障害物があると電波が届かなくなることもある。
まずは教員が確認 補う形で活用を
相模原市は9月14日、同園でバスの中の園児が防犯ブザーを鳴らして外部に助けを求める実験も行った。
市内では同園のほか、私立93園でも通園バスを運行している。同市保育課の遠山芳雄課長は、国が安全対策を検討している中でも通園バスは使われているとし、「まずは教員が取り残されていないか、園児の確認をすること。テレビドアホンと防犯ブザーは、それを補う形で活用を検討してもらいたい」と話した。