園バス置き去りを防ぐため、園児がクラクション鳴らす訓練も… 園長「小さい子には難しいかも」

堀場達、加藤豊大 (2022年9月21日付 東京新聞朝刊)
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通園バスのクラクションを鳴らす園児=いずれも千葉県銚子市で

 静岡県牧之原市の認定こども園の通園バスに取り残された3歳児が熱中症で死亡した事件を受け、千葉県銚子市高神東町の飯沼幼稚園は20日、子どもたちがクラクションを鳴らすなど、身を守るための訓練に取り組んだ。起きてはならない事故を防ぎ幼い命を守るため、万一に備えた。

音に驚いて泣き出す3歳児も

 訓練には園児72人が参加。通園用4台のうち、マイクロバスとワゴンタイプの車両を使い、子どもたちがクラクションや乗降扉に取り付けた警報ブザーを鳴らしたほか、通常は施錠している園舎の玄関インターホンを押した。

 飯沼幼稚園では、バスに運転手と教職員が添乗し、園児が降りた後、忘れ物や落とし物がないか、車内を点検する。バスは雨天時以外、開扉して待機させている。

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乗降扉に取り付けた警報ブザーを鳴らす園児

 出欠確認も徹底しており、平幡文乃園長は「昨夏、5歳の男の子が亡くなった福岡県の事件後にも、クラクション訓練を考えたが、近所迷惑かな、と取りやめた。悲しい事件が続いたため、万一の事態を想定した」という。

 参加した園児のうち、4歳の女児は「思ったより、大きな音が出た」としっかり感想を述べたが、音に驚いて泣き出す3歳児もいた。平幡園長は「小さい子には難しいかも。臨時で勤務に入る人に向け、点検方法を文書化するなど、子どもを守る手だてを尽くす」と話した。

千葉県が62項目の点検要請

 静岡県での死亡事案を受け、千葉県は認可外を含む県内全2441の保育施設に再発防止の徹底を通知した。各施設の運用実態を確認する点検も行い、今月末にも結果を取りまとめる。

 通知は事故翌日の6日付。乗降時の点呼や降車後の車内確認、児童の出欠把握の徹底などを求めている。

 また、国の指示に基づき、県内の全保育施設と幼稚園に対して通園バス運用の点検を要請。「マニュアルがあるか」「乗降時に人数を確認しているか」といった62項目を尋ねる。牧之原市の事案が、普段とは違うドライバーが運転した日に起きたことを受け、送迎する職員が誰であっても安全に運行できる態勢の整備もチェックする。

 千葉県子育て支援課の担当者は「絶対に起きてはならない事案。国の取り組みも見ながら、県としても対策を徹底する」と話した。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2022年9月21日

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