入園・入学で初めての集団生活 1年目は頻繁に風邪をひくことがあります〈森戸やすみのメディカル・トーク〉

(2024年4月2日付 東京新聞朝刊)

イラスト・横田眞未子

こんなに繰り返すなんて…と当惑

 4月になり、初めて集団生活を始めるお子さんもいることと思います。1年目は頻繁に風邪をひくことがあります。多くの感染症はくしゃみやせきなどの飛沫(ひまつ)で感染するためで、風邪もウイルスや細菌が入った飛沫からうつります。

 生活環境が変わって疲れ、かかったことのない病原微生物に対しては抗体がないので病気になってしまうのです。ですから、「今まではすぐに治り、こんなに繰り返すことはなかったのに…」と保護者が当惑することがあります。

どういう場合に受診すればいいか

 どういう場合に受診すればいいでしょうか。本人がつらそうなら病院に行きましょう。鼻水が出ていても、元気で食欲もあれば様子を見てもいいです。せきやゼイゼイした呼吸のせいで寝不足の時、おなかが痛くて朝食を食べられない時は受診しましょう。熱が37.5度以上ある時は受診してほしいですが、熱は微妙なものの、何かいつもと様子が違う場合も、登園・登校した後、途中で具合が悪くなるかもしれません。

 病児保育などは、事前の登録が必要です。麻疹のような強い感染症だと利用できませんから、ワクチンで防げるものは防ぎましょう。現在、麻疹ワクチンとMRワクチンは、大手の1社が規格を下回ることが確認された製品を自主回収中のため、逼迫(ひっぱく)しています。接種を希望する場合は、かかりつけ医に問い合わせてみてください。

森戸やすみ(もりと・やすみ)

 小児科専門医。1971年、東京都出身。一般小児科、新生児集中治療室(NICU)勤務などを経験。「子育てはだいたいで大丈夫」(内外出版社)、共著に「やさしい予防接種BOOK」(同)など、医療と育児をつなぐ著書多数。「祖父母手帳」(日本文芸社)も監修。子どもの心身の健康や、支える家族の問題について幅広く伝えます。