〈えほん〉「ヒロシマ 消えたかぞく」作・指田 和 写真・鈴木六郎
長壁綾子 (2019年8月9日付 東京新聞朝刊)
広島で理髪店を営んでいた鈴木六郎さんは、たくさんの家族写真を撮りためていた。子どもたちのはじける笑顔、動物たち、日々の暮らしを切り取った写真からは家族への父の愛があふれる。
昭和20年8月6日、1発の原子爆弾により一家は全滅した。ピクニック、海水浴、神社のお祭り-。戦時下の町にはありふれた日常があった。原爆は全てを奪い去ったが、家族が生きた証しは消すことはできない。六郎さんが空襲を避けるために郊外の兄に託し、今も残るアルバムから写真を選んで編んだ写真絵本。
1782円。ポプラ社=電話03(5877)8101。