〈えほん〉「くろは おうさま」文・メネナ・コティン 絵・ロサナ・ファリア 訳・うのかずみ
長壁綾子 (2020年3月13日付 東京新聞朝刊)
黄色はからし、赤はイチゴ、茶色は落ち葉、青は空…。目の見えない男の子トマスは、聞いたり、においをかいだり、触ったり、味わったりして色を感じる。
真っ黒の紙の上に銀色の文字。光沢のある透明なインクで、絵と点訳を浮き上がらせるように印刷した。視覚障害者にとって色とはどんなものなのか? トマスの豊かな発想と表現力が、読む側の想像力を広げてくれる。
メキシコで生まれ、14カ国語以上に翻訳されてきた静かで美しい作品。巻末には日本語の点字一覧表も収めている。
3850円。サウザンブックス社=電話03(6276)6688。