「また七ぎつね自転車にのる」 前橋市出身の児童文学作家 木暮正夫さんの世界 前橋文学館で6月6日まで

市川勘太郎 (2021年4月2日付 東京新聞朝刊)
 前橋市出身の児童文学作家、木暮正夫さん(1939~2007年)の作品を展示する「ひらめきときめきどきどききらり 児童文学作家・木暮正夫展」が、前橋市千代田町の前橋文学館三階オープンギャラリーで開かれている。観覧無料で、6月6日まで。

木暮正夫さん(市提供)

直筆原稿など70点を展示

 木暮さんは県立前橋商業高を卒業。「また七ぎつね自転車にのる」で第7回赤い鳥文学賞、「街かどの夏休み」で第27回日本児童文学者協会協会賞を受賞した。同協会で1992年から理事長、2006年から第14代会長を務めた。

 会場では、児童文学や怪談話、ノンフィクションなど多くのジャンルの作品を紹介し、手に取り鑑賞できる書籍や直筆の原稿など計約70点を並べている。

書籍や直筆原稿などが並ぶ展示=前橋市で

すごろくや読書ができるスペースも

 展示には、木暮さんの次男でイラストレーター、こぐれけんじろうさんが父の創作の様子をイラストと文章で書いた作品があり、鉄工の仕事をしながら夜は机に向かい作家に変身する様子などを表現した。

 終戦前の前橋空襲を題材にした「時計は生きていた」や、ハンセン病の元患者の半生を描いた「いのちの森を守る」なども注目される。会場には子どもが楽しめるよう、おばけ話を題材にしたすごろくや本を読む自由スペースも設けた。

 文学館の高坂麻子副主幹は「子どもの視点を大切にしていて、地元に対するまなざしも持っている。作品の温かさを感じてほしい」と話している。開館は午前9時~午後5時。水曜休館。