子どもをスマホでかわいく撮るコツ「ぴぐあ」って?

(2016年12月6日付 東京新聞朝刊)

 夢中で遊ぶ姿やかわいい寝顔。子育て中には、残しておきたい場面が至る所にある。そんなとき、いつも持ち歩いているスマートフォン(スマホ)のカメラ機能を使うと便利だ。ただ体が斜めになったり、顔が暗かったりして、思い通りの写真を撮るのは難しい。専門家に、スマホで子どもを撮る場合のポイントを聞いた。

「ピント、グリッド線、明るさ」の頭文字

 「せっかくのかわいい子どもの写真も、基本ができていなくて残念なことが多い」

 保護者向けのスマホカメラ講座を開催しているカメラマン中嶋真由美さん(31)=名古屋市=は、講座参加者の写真を見てこう感じる。中嶋さんは2児の母で、保育士として保育園で働いた経験もある。講座では、母親の視点に立ち、専門用語をできるだけ使わずに分かりやすい説明に努めている。

カメラマンの中嶋真由美さん

 講座で最初に呼び掛けるのは「写真を撮るときは『ぴぐあ』に気を付けて」。ピント、グリッド線、明るさの頭文字をくっつけた造語。「写真に大切な基本。覚えてほしい」と話す。

 スマホは、自動的にピントを合わせる機能が付いているものの、顔ではなく風景のどこかにピントが合ってしまうことがあり、子どもの顔がぼけてしまう。これを防ぐのが、画面に軽く触れ、ピントを合わせる動作(タップ)。画面の中で子どもの顔の部分をタップすると、目鼻がくっきり写った写真になる。

「垂直」に合わせる 晴れた日は日陰に

 次に大切なのが、画面に方眼紙のような縦横の線を重ねるグリッド線の表示。グリッド線の水平と垂直に合わせるようにカメラを傾けると斜め写真を防げるほか、画面の中で子どもが小さすぎる時に気付きやすい。グリッド線を表示する操作は、機種によって異なる。

 明るさも自動調整されるので普段は問題にならないが、明るい空や光が当たる花などと一緒に子どもを撮ると、顔が暗くなってしまう。明るさの設定を露出などで調整し、顔の明るさに合わせる。晴れた日の屋外で撮影する時は日陰を選ぶと良い。顔に影が入ったり、子どもがまぶしがったりすることを防止できる。

脱イヤイヤには「自撮り」が有効!

 中嶋さんの講座では「子どもの笑顔がうまく撮れない」という悩みが多く聞かれるという。「イヤイヤ期に当たる2、3歳の子は、カメラを向けると何をされているか分からず、顔を背けてしまうことが多い」。そんなときは、「自撮り」の方法が威力を発揮する。

 子どもに、画面に写った自分の顔を見せながら撮ると、面白がって笑顔になりやすい。この機能をうまく使えば、普段撮れないような表情を捉えることもできる。

 例えば、秋のドングリ拾い。地面に落ちたドングリを探す子どもを、大人の高い視点から撮ると、下を向いて頭頂部しか写っていない写真になってしまう(写真1)。

(写真1)大人の目の高さで撮った写真。顔が写っていない

 「自撮り」のように下からあおるように撮ると、表情もばっちり写せる(写真2)。

(写真2)地面すれすれから撮った写真。表情もばっちり

 中嶋さんは「スマホのカメラでの撮影は、手軽に付けられる育児日記と同じ。写真を通じて子育てを楽しんで」と話す。