バレー石川祐希選手は思考力と行動力のアスリート 親子で受け止めたいコロナ対策「僕たちが今、できること」

谷野哲郎

ポスターを手に新型コロナウイルス感染予防や自分で考え、行動することの重要性を訴える石川選手(所属事務所提供)

 アスリートの本分は競技で結果を残すこと。競技以外の余計な主張はしなくていい。そんな選手がいる一方、積極的に自身の考えを発信していこうという選手も増えています。今回、紹介するのはバレーボール男子日本代表の石川祐希選手(24)の取り組み。コロナの時代に安全にスポーツを続けるためには、どうしたらいいのか。今、何を考えるべきなのか。石川選手の提言はスポーツをする子どもだけでなく、子どもを持つ親世代も考えさせられる内容になっています。

2つの意識、6つの切り口 経験を生かし丁寧にアドバイス

 石川選手は今夏、「これからも全力でバレーボールを楽しむために、僕たちが今、できること」と題し、神戸大学医学部付属病院監修の下、新型コロナウイルスへの感染予防の呼び掛けを行いました。全国のバレーボールに携わる人に向け、「手、指は汚れている」「全員に感染リスクがある」という2つの意識を持つべきと指摘した上で、「自分のカラダを知る」「免疫力を落とさない」「仲間のことを考える」など、6つの切り口を所属事務所・グッドオンユーを通じて披露しました。

ポスターなどを使い、新型コロナウイルス感染予防を訴える石川選手(所属事務所提供)

 興味深いのは自らの経験を基にした丁寧なアドバイスを行っていること。例えば、「自分のカラダを知る」の項目では毎朝起きたときに体温を測ることや、寝る前に40分から1時間ストレッチを行っている習慣を明かし、「免疫力を落とさない」の項目では「食事を意識することでプレーの質が明らかに変わりました」として、できるだけ多くの食材を食べることを推奨しています。また、「清潔を保つ」の項目ではシューズや練習後のユニホームなど、「汚れている(ウイルスがついている可能性がある)モノと教科書やお弁当などの清潔なモノを一緒にしていませんか?」と、カバンの中身を分けてしまうことを提案。幼稚園や小中学校に通う子どもを持つ親が参考になる助言がいくつも詰め込まれています。

「アスリートファースト」の発信が、子どもたちの勇気に

 プロバレーボールプレーヤーである石川選手は愛知県岡崎市出身。星城高校時代は史上初の6冠(2年連続インターハイ、国体、全日本高校選手権での優勝)を達成。中央大学へ進んだ2014年には、当時史上最年少となる18歳で日本代表デビューを果たしました。今はイタリア1部リーグ・セリエAのミラノでプレー。東京五輪で最も活躍が期待されるアスリートの一人です。

星城高校時代の石川選手=2014年

 モデルと見間違うような爽やかなルックスもさることながら、彼の特徴はその「思考力」と「行動力」にあります。以前、別のコラムに書いたことがあるのですが、コロナによって世界中でスポーツが中止になった3月には、SNSを通じて、子どもたちに、これまでスポーツができた感謝の気持ちを周囲に伝えようとキャンペーンを張り、彼のインスタグラムには延べ100万件を超える反響がありました。彼の持論は「アスリートファーストはアスリート自らファーストに(率先して)行動すること」。今回も自分の主張を行動で形にしたのでしょう。

 テニスの大坂なおみ選手が人種差別撤廃を訴えたように、今年はスポーツ選手が少しずつ声を上げ始めた年でした。アスリートの発信力がこれまで以上に意味を持つ中、子どもたちに呼び掛ける石川選手の取り組みは、もっと注目されても良いと思います。「やってみなくちゃわからない。やらなかったら何も変わらない」「自分がやると決めたことを、勇気を持って行動しよう」。石川選手の呼びかけを聞いた子どもたちの10年後、20年後が今から楽しみです。

「アディショナルタイム」とは、サッカーの前後半で設けられる追加タイムのこと。スポーツ取材歴30年の筆者が「親子の会話のヒント」になるようなスポーツの話題、お薦めの書籍などをつづります。

コメント

  • 石川選手のことをもっと多くのメディアに扱ってほしいと思います。考え方がほかのアスリートとは違って、子供のことや人々のことを常に考えて行動しています。バレーボールが野球やサッカーのようにメジャーなスポー
     
  • 石川選手の取り組みをもっとたくさんの人に知ってほしい。ここには松井選手やイチロー選手や、いろんな人の取り組みが書かれているので子育ての参考になる。