ドラえもん第1話は6つある? 誕生から半世紀、川崎市の藤子・F・ミュージアムで企画展
石川修巳 (2019年7月23日付 東京新聞朝刊)
ドラえもんが、のび太の机から飛び出して半世紀。その始まりを当時の原画でたどる50周年展が、川崎市多摩区の藤子・F・不二雄ミュージアムで始まった。子どもたちの共感を呼び、世代を超えて読み継がれてきた人気漫画の原点が紹介されている。
「ジャイアンの熱唱」初登場シーンは?
ドラえもんが登場したのは、小学館の学年別雑誌で連載が始まった1970年1月号。節目となる50周年展は3期に分け、来年1月までの第1期を「ぼくドラえもん。」と題して142枚の原画を展示する。好物のどら焼きやひみつ道具、ジャイアンの熱唱など、いろいろな初登場シーンを特集している。
「出た!」。「小学四年生」69年12月号に載った新連載の予告には「ド」の字もない。「机から飛び出すアイデアだけが先行していた。連載が始まる締め切り間際にひらめいたのが、ドラえもんでした」と事務局の吉田健司さん。
読者の年齢に合わせて描き分け
実は、ドラえもんには6つの第1話があるという。小学1~4年生向けの学年誌と、幼児向けの「よいこ」「幼稚園」の6誌で同時に連載が始まり、読者の年齢に合わせて登場人物のせりふやテーマ、キャラクターの身長などが描き分けられたためだ。
会場にはほかに、単行本45巻のうち、29巻分のカバーイラストの原画がずらり。藤子さんの右手をかたどったブロンズ像に触れるようにして、数々の作品を生み出した手を体感できる趣向もある。
伊藤善章(ぜんしょう)館長は「ドラえもんも成長し、キャラクターが完成されてきた歩みを見ていただきたい」と語る。入館は日時指定の予約制。問い合わせは同ミュージアム=電話0570(055)245=へ。