ジブリ美術館をコロナ禍が直撃 来館者は7分の1、大幅赤字に… 思い出のある人たちがふるさと納税で続々支援
20周年 親と一緒に来ていた人が再来館
−開館から20年、来館者の反応は。最近は3世代で訪れる人も目立つ。
「当館として周年は特別視していませんが、ファンや近隣の方々にとって20年は一つの節目。小さいころ、親と一緒に来たという方が再び来館され、『目の高さが違うから当時の印象とまるで違う』と驚いていたり、子どもが巣立ち、心にすき間が空いちゃったというお母さんが『20年間が戻ってきた』と喜んでくれたり…」
−名誉館主の宮崎駿監督は。
「監督は『20年もよくもったね〜』と言っていました。でも『子どものための美術館にしたい』という思いは20年前から一貫しています。『こういうものに出合っていたら楽しかっただろうな』『自分の中の4歳がこれを見てワァと思うな』。子どもの視点にこだわり、展示のアイデアを考える監督を見てると『幸せな人だなあ』と思います」
コロナで減収 ふるさと納税で支援募る
−普段から人数を絞っている分、コロナ禍の影響はより深刻に出た。三鷹市が来年1月末まで、ふるさと納税サイトで支援を募っており、これまでに約4000人が3100万円余を寄せた。ただ、数億円規模の減収を埋めるには至っていない。
「支援はとてもありがたい。(寄付の)金額は多いに越したことはない。開館から20年が経過し、修理しようにも同じ部材がないなど維持管理費がかさんでいる。寄付してくれた方の中には、当館で奥さんにプロポーズをしたという人もいて『思い出の大切な地がなくなってしまうのは困る』と危機感の強い方が多いのには驚きました。『子どもに驚き、感動してもらいたい。きれいなものを見てもらいたい』との思いは強い。『続けたい』という意志がある限り、美術館は続けます。入館者数の制限はコロナの様子を見ながら少しずつ緩和し、増やしていきたい」
屋上にはラピュタのロボット兵 2022年5月末まで「アーヤと魔女展」
井の頭公園の緑に溶け込むようにたたずむ同館。屋上には守り神という設定の「天空の城ラピュタ」のロボット兵が立つ。ジブリが初めて挑んだフル3DCGアニメの制作過程を紹介する企画展「アーヤと魔女展」は来年5月まで開催中。
入館は日時指定の予約制。大人・大学生1000円、小学生400円など。チケットの問い合わせは案内ダイヤル=電話(0570)055777=で受け付ける。ジブリ美術館支援のふるさと納税の問い合わせは、三鷹市企画部=電話 0422(45)1151、内線2101=で受け付けている。
安西香月(あんざい・かづき)
1965年、石川県生まれ。金沢美術工芸大卒。1998年、スタジオジブリに入社し、ジブリ美術館の開館準備に携わる。愛知県愛・地球博記念公園「サツキとメイの家」などジブリ関連施設の展示デザインを多く手がける。2017年、館長に就任。
©Museo d’Arte Ghibli ©Studio Ghibli
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