日本にもハロウィーンがあった!?「お墓はお菓子をもらえる場所」新潟・南魚沼の独特な風習
もうすぐハロウィーン。最近はすっかりイベントとして定着していますが、初めて聞いた時、私は実家のある新潟県南魚沼市のお盆の風習を思い出しました。
ハロウィ-ンは「トリック・オア・トリート。お菓子をくれないといたずらするよ」と仮装した子どもたちが近所の家々を回り、お菓子をもらう風習。一方、私の実家では毎年8月13日の夕方、墓参りの時に他の家の墓に供えられたお菓子を子どもたちがもらえるのです。
自分の家のお参りが済むと、墓を見渡し、お菓子を探します。見つけると、墓に手を合わせて「いただきます」と言ってお菓子をもらいます。時には、お参り中の人の後ろで終わるのをじーっと待ち、「どうぞ」と言われると、さっさと手を合わせてもらうことも。供えられているのは、昔はセロハンに包まれたゼリー菓子や砂糖菓子もありましたが、最近は個包装のチョコやせんべいなど。特に豪華でもないですが、子どもにとっては年に一度の楽しみ。お墓はお菓子をもらえる場所、だったのです。隣の墓地まで回り、買い物袋いっぱいに持ち帰ったこともありました。
ちなみに、わが家ではこのお菓子を食べると「風邪をひかない」「1年丈夫で過ごせる」などと言われていました。
墓参りの風習は各地で独特ですが、大人になってこの話をすると、「何それ?」「聞いたことない」と珍しがられたり、笑われたり…。他の地域でもないのかネットで検索すると、やはり地元の「南魚沼市女子力観光プロモーションチーム」のブログに同じような思い出をつづった投稿を見つけました。
筆者の小林昌子さん(54)は、私と同じ町内出身。電話で話を聞くと、南魚沼の全ての地域ではないですが、他の地域でも同様の風習はあるそうです。昔はご先祖様へのごちそうとしてぼた餅(おはぎ)を供えていた家が多かったのですが、衛生面への配慮などから個包装のお菓子が増えてきたといいます。「私が小さいころは、家族でぼた餅を作って供えていました。混ぜご飯やおこわもあったかな。楽しみでね」と小林さん。
思えば、子ども心に「あの墓のお菓子はおいしい」とか、「あっちのお墓のお菓子はハズレ」などと思いつつ、「どうぞ」と言われたら手を合わせてありがたくもらっていました。子ども同士、お菓子の取り合いにもなりますが、お墓でけんかをするのもまずいと思い、半分ずつ分け合ったり、小さい子にゆずったり。そういう「作法」は自然と身についたように思います。
最近は自治会やマンション、商店街などでハロウィーンのイベントをするところも増えているようです。今年は、台風の被害でいつもの年のようにはできない地域もあると思いますが、お菓子を抱えた子どもたちの笑顔が、早く戻りますように。
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