沖縄戦を描いた「なきむしせいとく」が講談社絵本賞 今も進むミサイル基地建設…田島征彦さんの複雑な思い「過去の話ではない」

(2023年6月16日付 東京新聞朝刊)
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『なきむし せいとく 沖縄戦にまきこまれた少年の物語』の表紙(童心社提供)

選者の評「平和を世界中に発信できる」

 絵本作家・田島征彦さん(83)の「なきむしせいとく 沖縄戦にまきこまれた少年の物語」(童心社)が、第54回「講談社絵本賞」に選ばれました。東京すくすくでも昨年、紹介した作品です。

【関連記事】沖縄戦を真っ正面から描く絵本「なきむしせいとく」 悲惨な戦場のリアリティーを少年の目線で 田島征彦さんインタビュー →こちら 

童心社の「なきむしせいとく 沖縄戦にまきこまれた少年の物語」紹介ページ→こちら 

 40年以上沖縄に通い、取材し続けた田島さんは「こんなにつらい絵本制作は初めてだった。熱に浮かされるような日々だった」と振り返ります。沖縄戦について、世の中に、子どもたちに、大人に発信しなければいけないという強い信念を持ち、真摯に立ち向かった歳月が結実したのがこの絵本です。

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授賞式で沖縄について話をする田島征彦さん=講談社提供

 選考委員の1人で、絵本作家の長谷川義史さんが授賞式で話した言葉が印象的でした。「凶悪で巨大なエネルギーの武器で平和を維持しようという大きな流れがある中で、人の命を奪う武器ではなく、絵本を通して対峙する決意がいるんだということを改めて教えられた。『なきむしせいとく』はうすっぺらな平和への宣言ではない。平和を世界中に発信できる絵本です」

 沖縄では、現在もミサイル基地建設が進んでいます。田島さんは「『なきむしせいとく』は過去の話ではない」と訴えます。「緑に包まれた美しい島が焼ける。ミサイルで焼けただれ、そこを逃げ惑う子どもたちを僕たちはつくっているのではないかと思うと、とてもつらい」と複雑な表情を浮かべていました。

 絵本には、花が咲き乱れ彩り豊かな美しい島が描かれています。けれど、戦況の悪化に伴い、だんだんと色彩が奪われていきます。6月23日に今年も沖縄は慰霊の日を迎えます。「なきむしせいとく」を再び現実のことにしないために、私たちにできることは何でしょうか。

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刀を振りかざし、走っていく兵隊を見つめるせいとく(たじまゆきひこ「なきむしせいとく 沖縄戦にまきこまれた少年の物語」から=童心社提供)

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