「児童虐待、DVと一体解決を」緊急集会で専門家らが提言

出田阿生 (2019年2月15日付 東京新聞朝刊)
 千葉県野田市の小学4年栗原心愛(みあ)さん(10)が死亡した虐待事件をめぐり14日、東京都内で緊急集会が開かれ、児童虐待は配偶者間などの暴力(DV)問題と一体的に解決を目指すべきだとする意見が相次いだ。

行政や法律の改善を求める登壇者ら=14日、東京都内で

「多くの児童虐待の背後にはDVがある」

 集会は、DV被害者の支援団体などが主催。事件では、心愛さんの母親が父親からDVを受けていたとされる。支援団体の松本和子さんは「多くの児童虐待の背後に家庭内のDVがある。被害者は恐怖で思考能力を奪われ無力化し、加害者のゆがんだ見方に同調する事態にも至る。行政はまず、DV事案として母子を保護して父親から離すべきだった」と指摘した。

児童虐待防止法とDV防止法の管轄部署の連携を

 虐待に詳しい斉藤秀樹弁護士は「実際のDV加害者は大声を出したり暴れたりせず、冷静かつ理論的に相手の弱みに付け込むタイプが多い。DVの本質は精神の支配とコントロール」と説明。「長期間支配された母親が(子どもを守るために)できたことは限られていたのでは。DVの特殊な構造を見極めた法体系をつくる必要がある」と述べた。

 戒能民江・お茶の水女子大名誉教授も、児童虐待防止法とDV防止法を管轄する行政の部署が連携していないとし「縦割りをなくさないと事件の再発は防止できない」と強調した。