共働きが多い時代に合わない児童手当の支給要件 「主な稼ぎ手の収入」から「世帯合算」に変更を 自民党内に求める声

村上一樹 (2021年11月25日付 東京新聞朝刊)

 政府の経済対策に盛り込まれた18歳以下への10万円相当の給付を巡り、所得制限を準用した児童手当の支給要件を、世帯内で主となる稼ぎ手の収入に基づく現行方式から、世帯内で収入を合算する方式に見直すよう求める声が、自民党内から上がり始めた。共働き世帯が主流の現状に制度が合わなくなっているとの考えからだ。だが合算方式だと支給対象外となる共働き世帯が多くなるため、与党内で反対意見も根強い。

制度創設時は専業主婦世帯が主流だった

 児童手当の支給要件を巡っては、自民党の高市早苗政調会長が、経済対策を審議した党会合で「世帯合算でやった方がいいという声もある。仕組みを立て直し整備をしたい」と語り、近く党内で検討を始める方針を示した。

 児童手当と18歳以下への10万円給付はともに、夫婦と子ども2人の4人家族の「モデル世帯」で、主となる稼ぎ手の収入が960万円未満(配偶者の収入が103万円以下)であることが支給要件となる。

 児童手当制度の創設は約半世紀前の1972年。支給要件となる世帯の収入が夫婦のどちらか一方となった理由について、内閣府の担当者は「当時は、専業主婦がいる世帯が今より多かったという状況の違いもある」と説明する。

受け取れない共働き世帯が出る懸念も

 現状は制度創設時と比べ、世帯の在り方が大きく変化している。独立行政法人「労働政策研究・研修機構」によると、1980年は専業主婦が1114万世帯、共働きが614万世帯と専業主婦世帯が主流だったのが、1990年代にほぼ同数となり、以降は共働き世帯が逆転した。

 子育て関連制度には、現行でも支給要件を世帯合算方式にしたものがある。共働き世帯への支給を元々想定していた保育料や、昨年4月に導入された困窮世帯の授業料を減免し奨学金を給付する「修学支援制度」などが当てはまる。児童手当も今年、高所得世帯向けの給付一部廃止が決定された際、世帯合算方式にする案が検討された。

 一方で、合算方式にすると、収入の上限額次第で児童手当を受け取れなくなる共働き世帯が多く出る懸念もある。

 公明党は「共働きをしなければいけない一番大きな理由は、子どもの教育費などに非常に費用がかかることだ」(北側一雄副代表)と、合算方式にあくまで反対する意向を示している。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2021年11月25日

コメント

  • なぜ共働きになるのか? 共働きにならざるをえない給与なのに、働いたら働いただけ恩恵を受ける制度にするべきで。アリとキリギリスのように働いた人が恩恵をうける社会構造にしない限り、皆、偽装離婚して、シン