群馬にシングルマザーのための「女性村」が誕生 自立支援や”駆け込み寺”に
日本ららばい協会が開設 農業研修も
日本ららばい協会は、子守歌を通して子どもの心の健全育成や子育て支援、虐待防止に取り組んでいる。500回以上のコンサートを開き、女優の吉永小百合さんらも支援する。こうした活動の中、新型コロナウイルス禍で女性の雇用や生活環境が不安定になっていると懸念。自立を支援するプロジェクトを立ち上げた。
下仁田町特産のネギにちなみ「ねぎぼうずプロジェクト」と名付け、旧町立西牧(さいもく)小学校の校舎を拠点に活動する。母子や女性らが交流できる音楽会などの催し、相川厚・東邦大名誉教授が協力する「心身の相談室」、育児や自立のための各種講座を開催。シングルマザーらの自立につながるよう手仕事ワークショップ等の制作指導、農業の体験・研修なども予定し、起業支援や定住促進に取り組む。
米コカ・コーラ財団の助成金を活用
盛岡市の児童養護施設「みちのく・みどり学園」の協力を得て、虐待児童や母子の相談を受け付け、支援する「駆け込み寺」としても活用する方針だ。
山あいの旧校舎は鉄筋3階建てで17教室。うち一室に趣旨に賛同した世界的ピアニストのフジコ・ヘミングさんから贈られたドイツ製ピアノが置かれ、13日のコンサートで演奏される。同室を含め、売店やギャラリーなど計4室を11月に順次公開する。施設には常駐職員1人を置く考えで、町民から募っている。現在、旧校舎は宿泊ができないため、町内の空き家を借りて利用する。
2021年に米国コカ・コーラ社の財団へ申請した助成金が認められ、35万ドル(当時のレートで約4000万円)を受け取った。これを活動の資金に充てる。町も交流人口の増加や子育て支援の観点から旧校舎の賃貸に応じた。
50年前に豪州で見た女性村が原点
女性村の原点には西舘さんの体験がある。約50年前、当時の夫で作家の井上ひさしさんと3人の娘で一時暮らしたオーストラリアで、シングルマザーが生活する女性村を訪れた。「小さな屋台が並び、自作のジャムやケーキ、手作りの絵本や詩集、玩具などを持ち寄って売っていた。みんな笑顔で、女性ってすごいって感動した」と振り返る。
下仁田町には5年ほど前から訪れている。長野県軽井沢町にある別荘への行き帰りで豊かな自然に魅了され、「この地で母子に一日を過ごす楽しさを感じてほしい」と思った。
西舘さんは「コロナ禍やウクライナの戦争、経済不安、家庭内の虐待など時代は混迷期にあると思う。自分らしく生きたい、人生に挑戦したいという女性に来てほしい」と呼びかけた。
問い合わせは日本ららばい協会=電話03(6458)0283=で受け付けている。