〈パパイヤ鈴木さんの子育て日記〉5・沖縄の自然を満喫

(2011年9月9日付 東京新聞朝刊)

家族そろってシュノーケリング

 以前から、夫婦の間で話題に出ていたことがある。それは子どもたちの海外留学。「あの子、英語ペラペラだね!」。魅力のあるほめ言葉だ。「ある程度育ったら行ってもいいね」「大きくなったら行かせたいね」などとよく話したものだ。

 しかし「ある程度」「大きくなったら」とは何歳なのか。高校生ぐらいから留学することが多いのだろうが、最近僕は早ければ早いほどいいのではないかと思うようになった。

 僕が初めて海外に行ったのは30歳。「もっと早く来ていれば」と後悔した。英語はもちろん、外国人の考え方やマナーなど、学ぶべきことはたくさんある。脳が固くなってからでは遅い気がする。

 一方で、ちゃんと暮らせるのかという疑問も残る。1人で寝ることすらできない息子には母親が必要だ。では、僕以外の3人が一緒に海外? それも考えづらい。結局、「ある程度育ったら…」になってしまうのだろう。

東京を離れ、沖縄・南城市へ

 では、いきなり海外留学ではなく、しばらく東京を離れ、大自然を満喫するのはどうだろう。夏休みの自由研究もやりつつ、自然児・自由人を育てられる場所はないだろうか。考えた末に選んだのが沖縄だった。中心部から少し離れた場所がいい。沖縄本島の南部に南城市という所がある。人が温かく、パワースポットがたくさんある。そこで妻と2人の子どもは1カ月間暮らすことになった。

真っ黒に日焼け 子ども本来の姿

 慣れないこともあっただろうが、妻は2人を連れてあらゆる場所に出かけたらしい。僕が合流したとき、空港で元気に走ってくる子どもがいた。「やっぱり地元の子は元気がいいな」と思ったが、よく見ると娘と息子だった。真っ黒に日焼けし、ニコニコ手を振る顔に涙が出そうになった。これだ! 子ども本来の姿がそこにあった。ゲームやおもちゃの存在を感じさせない、ただ元気な子どもの笑顔-。

 翌日から、一緒に遊びまくった。サンゴの間をぬって泳ぎ、イソギンチャクの中に隠れるカクレクマノミに出会った。小魚の群れに追い越され、名前も知らない巨大な魚に襲われそうになった。すべてが初体験。沖縄は子どもだけでなく、大人も成長させてくれた。次はどこだろう。僕たち家族がもっとでっかくなれる場所は…。(振付師)