〈奥山佳恵さんの子育て日記〉29・障がい児の就職先は? 不安が渦巻く春

(2022年3月11日付 東京新聞朝刊)
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「好きなお仕事を選べる、笑顔いっぱいのミライであれ」

奥山佳恵さんの子育て日記

季節は春 でも将来を思うと暗雲が

 このごろの関東はすっかり春。気温もポカポカ、ウメに続いてサクラもチラホラ。芽吹きの季節は気持ちが上がる。出発、挑戦、新しい道-。そこに「始まり」が詰まっているからだと思う。

 ダウン症のある次男はこの春、新5年生。生まれたばかりのころは「育てる」ということに夢中で、これまでの年月はあっという間でした。

 ここで少し立ち止まり、彼のこれからを思う。華やかであるはずの春のイメージは今のところ、そこにはない。もっと言うと、暗雲すら立ち込めている。学校を卒業した後の行き先、就職先に確証が持てないからだ。

いいところを見つけて伸ばしていく

 大学を優秀な成績で卒業したにもかかわらず、障がいを理由に就職ができなかった友人から「普通級、支援学級、支援学校、結局どこの学校を選んでも同じ。卒業したら放り出される」という経験談を聞いた時は驚いた。

 企業に有益な人材から、お仕事先は決まっていく。障がい者雇用枠は狭き門。選ばれし人材もなお優秀な順になることを思うと、障がい者の就職先の数の圧倒的な少なさに親心の空は暗雲以外にない。

 障がいのある子を育てる母同士、「学校を卒業したらどうする?」という話題は、いつもため息まじりだ。「就職先は選べない、という未来だったら…」と絶望を感じるお友達もいる。「では、私たち親が今できることは」-。別のお友達と考えた。「この子の持ついいところを見つけて伸ばしていくことだよね」

 そのためにいろんな経験をさせて、未知なる一面やキラリと光る可能性を見つけて育てる。この子だけの個性が磨かれ、それがはたまた有意義な勤め先へとつながれば! 好きなお仕事を「選ぶ」側に立てたとしたら! 「選ばれなければ選べばいい」なんて、私がよく歌う「残響散歌」の歌詞みたいですけど。

将来の夢は「カレーうどん屋さん」

 次男に将来の夢を尋ねるといつも決まって「カレーうどん屋さん」。うどん作りの職人になるのも面白い。愛嬌(あいきょう)があるからホール勤務にも向いている。最近、食後の食器は次男にキッチンの流しまで下げてもらい、テーブルも拭いてもらっている。「ありがとうございましたー」なんて言う姿はすでに店員さんだ! 

 いつかの春、リアルに就職した姿を見ることができれば母として本望。障がい児を育てる親たちの胸の暗雲が少しでも解消される世の中になってほしい。春という季節は誰にとってもキラキラとしたものじゃなければいけないと思うから。(女優・タレント)

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