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〈奥山佳恵さんの子育て日記〉3・ダウン症の次男のおかげで長男が見つけた「道」

  (2019年7月12日付 東京新聞朝刊)

奥山佳恵さんの子育て日記

写真

障がいのある子を中心に企画されたカヌー体験会でも、兄は全力でお手伝いしていました

お兄ちゃんは芸能人になりたい?

 「高校生のおぼっちゃんは芸能人になりたいとか、おっしゃいませんか?」-。そんなふうに聞いていただくことがあります。めっそうもございません! みじんも思っていません! はっきり言い切れます。

 なぜそのようなご質問をしていただけるのか。それは、子どもにとって一番身近なオトナである親の職業の影響力って大きいから、ですよね。

 確かに、リビングのテーブルの上にポイ、と台本が置いてあるのは他の家庭ではないことかもしれません。求められてもいないのに撮影の詳細だって話します。それでも、息子が芸能への道を志していない理由はカンタン。興味が持てないから。母親の職業を積極的に周囲に話すこともありません。その方が彼にとっては生きやすいのでしょう。

好きなことを見つけていた息子

 高校2年生の夏ともなると、そろそろ本格的に今後の進路について考える時期。今も昔も、この若さで将来を見据えなければならないなんて大変だなぁと思います。将来の展望が描けている高校生ってどれくらいいるんでしょうか。少なくとも私は、何も考えていませんでした(笑)。

 自分の好きなこと、得意なことってなんだろう。まだよくわからないから、未来の選択肢を広げるためにまずは進学、しかもできるだけ高いレベルの。そんなふうに「とりあえず」突き進める、といった流れがあるように感じます。

 息子もそうなのかなと先日話をしてみたところ、なんと彼はちゃんと「好きなこと、得意なこと」を見つけていたのです。繰り返しますが、この若さで!

美容師でもタレントでもなくて…

 それは「福祉」への道でした。家庭内の環境が影響するのは「親の職業」だけではありませんね。長男にとって大切な弟による影響かと思います。家庭の中で「芸能」の情報があるのと同じくらい、もしかしたらそれ以上に、兄は「福祉」の情報に多分に触れることになりました。

 「世の中にはいろんな子どもたちがいる」ということを弟を通じて折に触れ肌で学び、「ともに過ごす時間が楽しい」と感じたのだそうです。確かに長男は、多様性のある子どもたちの中でいつも輝いていました。なので、正しくは弟の影響というより、弟のおかげで発見できた「好きなこと」かもしれません。ちなみに私の夫は美容師ですが、息子の口から美容の「び」の字も出てきませんでした。兄の優れた特性を導き出してくれた、弟に拍手。(女優・タレント)