リスク抑えた投資信託 将来や世の中を考える教育にもなります〈どんぶり一家のマネー術〉

(2022年6月3日付 東京新聞朝刊)

 パートで働く財子(ざいこ)さん(39)と会社員の夫の経男(つねお)さん(42)、長男税太(ぜいた)くん(4つ)、長女貨保(かほ)ちゃん(0歳)のどんぶり家。一家のお金の悩みにファイナンシャルプランナーの陽子さんが助言するコーナーです。

リスクを減らす「長期・積立・分散」

 財子 エネルギー価格高騰や食料品値上げなどの一方、給料は上がりません。このまま不景気が続くと、子どもたちが成長したころはどうなるのかと心配です。

 陽子 気持ちはよく分かります。でも、確実な予測が難しい中で心配ばかりしていても仕方ありません。不安を逆手に、リスクとの付き合い方やお金にも働いてもらう発想を持ってみませんか。

 財子 陽子先生の具体的なおすすめは何ですか。

 陽子 投資信託は1つの方法です。リスクを減らす可能性がある「長期・積立・分散」の手法を意識するのがポイントです。

例えば「お年玉から毎月3000円」

 財子 相場が悪かったりして踏み切れないのですが。

 陽子 毎月1万円など、積み立てでの定期購入ならタイミングを見計らう必要はありません。毎月一定額なら、投資信託の価格が高い時は少ない口数、低い時には多くの口数を買えます。購入価格が平均化され、リスクが抑えられる可能性が高まります。子どものころから始めれば、さらに長期投資が可能です。

 財子 子どももできるのですか。

 陽子 わが家の子どもは10歳から、お年玉を原資に毎月3000円を積み立てる投資信託を始めました。目減りした時期もありますが、世界情勢や経済のニュースに敏感になりました。自分の将来や世の中のあり方を考えるきっかけにもなっているようです。

 財子 視野を広げ、どう生きていくかを考える機会にもなるんですね。

八木陽子さん監修「投資の心得」発売

 八木陽子さん監修の『今から身につける「投資の心得」 10歳から知っておきたいお金の育て方』(えほんの杜)が出版されました。誰にでもわかるように解説した投資の「超」入門書。親子での学びにおすすめです。

監修・八木陽子

 東京都在住。1男1女の母。出版社勤務をへて独立。2001年、ファイナンシャルプランナーの資格を取得後、マネー記事の執筆やプロデュース、セミナーなどの仕事をする。2005年、親子でお金と仕事を学ぶ団体「キッズ・マネー・ステーション」を設立。2008年、家計やキャリアに関する相談業務を行う「株式会社イー・カンパニー」を設立した。著書に「6歳からのお金入門」(ダイヤモンド社)、「10歳から知っておきたいお金の心得」(えほんの杜)など。

※「どんぶり一家のマネー術」は毎月第1金曜に掲載します。次回は7月1日です。