児童虐待を防ぐには、妊娠期からの支援が必要。自分が「孤独」を経験して実感できた

浅野有紀 (2020年11月15日付 東京新聞朝刊)

 記者になって丸6年。児童虐待防止を願う関係者を取材してきた。虐待した親の心の回復プログラム、望まない妊娠をした女性が暮らすシェルター、産後の生活を支える地域コミュニティーなど、さまざまなアプローチがあった。

 「孤育て」が親を追い詰める、という共通の認識は理解しているつもりだが、いつかは自分も母親になって、子育ての大変さを体感したいと思っていた。妊娠が分かったときはうれしかった。

 ただ、吐きづわりは4カ月続き、わけもなく涙が止まらない日もあった。ベッドの上で震えながら「孤独だ」と感じた。支えてくれる家族がいてもこんな気持ちになるのなら、望まない妊娠だった場合、人に頼ろうとする力はみるみる吸い取られていくと思う。虐待死事件で一番多いのは、0歳児。虐待を防ぐには、妊娠期からの支援が必要だとつくづく感じた。

 16日から産休に入る。母親目線で取材が再開できる日を楽しみにしつつ、子育て生活を満喫したい。