液体ミルクもっと身近に 来春、全国で初めて文京区が母親らに無料配布
防災対策 救護所に液体ミルク2000個と使い捨て哺乳瓶
区では12年に跡見学園女子、貞静学園短期、日本女子、東洋学園の区内の私立4大学を、妊産婦・乳児向け救護所に全国で初めて指定。災害時には助産師らを救護所に派遣する計画で、粉ミルクや紙おむつなどを備蓄している。
液体ミルクの活用に当たって区は、開発に取り組む江崎グリコ(大阪市)と4大学、地元の出版社フレーベル館とコンソーシアム(共同事業体)を形成。来年度から救護所の体制を強化し、災害時に乳児160人が1日半に渡って利用できるよう、125ml入り液体ミルクパック計約2000個と使い捨て哺乳瓶を備える。
また、使った分を買い足す「ローリングストック」という手法で、乳児検診や母親学級、保育園の防災訓練などの際に液体ミルクを提供。日本栄養士会(港区)が来年1月にもまとめる自治体や医療従事者向けの活用指針を参考にし、会が作成するハンドブックも配布する。
成沢区長「父親の育児参加を増やすにも大切」
19日に厚生労働省で記者会見した成沢広修区長は、北海道地震の被災地で、液体ミルクに「キケン」と張り紙された例を紹介。「いざという時のために、日常的に使うことが大切。父親の育児参加を増やすにも(液体ミルクは)大切で、取り組みを全国に拡大させたい」と話した。
液体ミルクは常温で保存でき、湯に溶かす手間もなく利便性が高い。
国内では厚生労働省が8月に製造・販売を解禁。グリコは来春にも国内初の液体ミルクを製造・販売しようと、準備を進めている。
[元記事:東京新聞 TOKYO Web 2018年11月21日]
グリコが来春にも液体ミルク販売開始 国内初の商品化
「災害時のストレスで母乳が出なくなる母親も支えたい」
江崎グリコが同日、都内で開いた記者会見で発表した。販売時は紙パック入り125mlを想定するが、価格は未定。
液体ミルクは常温で保管でき、湯に溶かす手間がいらず、欧米では広く普及している。国内では厚生労働省が8月、製造・販売を解禁したばかり。国産品はなく、西日本豪雨や北海道地震での使用は、ごく一部にとどまっていた。
会見には、公益社団法人「日本栄養士会」(東京都)の中村丁次代表理事会長と文京区の成沢広修(ひろのぶ)区長らが出席。栄養士会は災害時の液体ミルクの活用指針を来年1月にも作成し、全国の自治体、医療従事者などに周知するプロジェクトを発表した。モデルケースとなる文京区は、江崎グリコから液体ミルクの提供を受ける。文京区では来春にも備蓄を始める予定。普段の乳児検診などでも無料で配布する。
中村代表理事会長は「どのような状態でも、赤ちゃんの栄養が確保できるよう、普及させたい」と説明。グリコの奥山真司マーケティング本部長は「災害時のストレスで母乳が出なくなる母親も少なくなく、赤ちゃんを災害から守りたい」と強調した。