液体ミルクもっと身近に 来春、全国で初めて文京区が母親らに無料配布

(2018年11月20日・21日付 東京新聞朝刊)
 災害発生時に赤ちゃんを守ろうと、東京都文京区は来春にも乳児用液体ミルクの備蓄と、母親らへの無料配布を全国に先駆けて始める。国内ではなじみが薄い液体ミルクを普段から手にすることで、災害などの非常時にも抵抗なく使ってもらう狙いがある。2019年度の一般会計予算案に関連費として260万円を盛り込む方針だ。 
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江崎グリコが販売予定の液体ミルクのサンプル=東京都千代田区で

防災対策 救護所に液体ミルク2000個と使い捨て哺乳瓶

  区では12年に跡見学園女子、貞静学園短期、日本女子、東洋学園の区内の私立4大学を、妊産婦・乳児向け救護所に全国で初めて指定。災害時には助産師らを救護所に派遣する計画で、粉ミルクや紙おむつなどを備蓄している。

 液体ミルクの活用に当たって区は、開発に取り組む江崎グリコ(大阪市)と4大学、地元の出版社フレーベル館とコンソーシアム(共同事業体)を形成。来年度から救護所の体制を強化し、災害時に乳児160人が1日半に渡って利用できるよう、125ml入り液体ミルクパック計約2000個と使い捨て哺乳瓶を備える。

 また、使った分を買い足す「ローリングストック」という手法で、乳児検診や母親学級、保育園の防災訓練などの際に液体ミルクを提供。日本栄養士会(港区)が来年1月にもまとめる自治体や医療従事者向けの活用指針を参考にし、会が作成するハンドブックも配布する。

成沢区長「父親の育児参加を増やすにも大切」

 19日に厚生労働省で記者会見した成沢広修区長は、北海道地震の被災地で、液体ミルクに「キケン」と張り紙された例を紹介。「いざという時のために、日常的に使うことが大切。父親の育児参加を増やすにも(液体ミルクは)大切で、取り組みを全国に拡大させたい」と話した。

 液体ミルクは常温で保存でき、湯に溶かす手間もなく利便性が高い。

 国内では厚生労働省が8月に製造・販売を解禁。グリコは来春にも国内初の液体ミルクを製造・販売しようと、準備を進めている。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2018年11月21日

グリコが来春にも液体ミルク販売開始 国内初の商品化

 江崎グリコ(大阪市)は19日、母乳の代わりになる乳児用液体ミルクについて、来春の製造・販売を目指し、国への申請に向けた準備を進めていることを明らかにした。日本では商品化されておらず、認められれば国内初となる。
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液体ミルクの備蓄や配布を進める文京区の成沢広修区長(右から2人目)ら=東京都千代田区で

「災害時のストレスで母乳が出なくなる母親も支えたい」

 江崎グリコが同日、都内で開いた記者会見で発表した。販売時は紙パック入り125mlを想定するが、価格は未定。

 液体ミルクは常温で保管でき、湯に溶かす手間がいらず、欧米では広く普及している。国内では厚生労働省が8月、製造・販売を解禁したばかり。国産品はなく、西日本豪雨や北海道地震での使用は、ごく一部にとどまっていた。

 会見には、公益社団法人「日本栄養士会」(東京都)の中村丁次代表理事会長と文京区の成沢広修(ひろのぶ)区長らが出席。栄養士会は災害時の液体ミルクの活用指針を来年1月にも作成し、全国の自治体、医療従事者などに周知するプロジェクトを発表した。モデルケースとなる文京区は、江崎グリコから液体ミルクの提供を受ける。文京区では来春にも備蓄を始める予定。普段の乳児検診などでも無料で配布する。

 中村代表理事会長は「どのような状態でも、赤ちゃんの栄養が確保できるよう、普及させたい」と説明。グリコの奥山真司マーケティング本部長は「災害時のストレスで母乳が出なくなる母親も少なくなく、赤ちゃんを災害から守りたい」と強調した。

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