〈坂本美雨さんの子育て日記〉40・「ママみたいに上手じゃないから…」自分を卑下するのも成長の過程

(2020年5月22日付 東京新聞朝刊)

今年も届いた、熊本の友人が育てている大きなスイカ!

親子で巣ごもり2カ月 めまぐるしい心の変化

 「どっちもどっち、どっちもうんち!」と叫んでゲラゲラ笑っている4歳児と1日中過ごす濃密な暮らしも2カ月が過ぎた。リモートで自宅から行う私のラジオ番組の収録中は、オットに娘を外に連れ出してもらったり、同じマンションのお宅でお昼を食べさせてもらったりと、とても助けられている。


〈前回はこちら〉39・「あそべないの、コロナだから~」 誘いを断った後、娘は泣き崩れた


 庭で遊ぶ子どもの声とマンションの管理人さんとの静かな攻防や、ご飯やコーヒーをテークアウトに行くささやかな楽しみ、ご近所に咲き乱れるジャスミンやバラの香り。細い糸で淡々とした絵柄を紡いでいるような日々の中にも、いら立ちや喜びの波が幾重にも訪れる。保育園に行ったりお出かけもできない、刺激の少ないように見える娘の生活の中でも、心の変化はめまぐるしい。

「へたくそだなぁ」「失敗ばかり」に胸が痛む

 親とばかりいることで、自分にどんどん似てきてしまっているような気がして、いとおしさと心配が交差する。気にかかっていることはたくさんある。例えば自分を卑下する発言が多いこと。「ママみたいに上手じゃないから」とか、自分が思ったようにできないとすぐに「あー! へたくそだなぁ!」とこぼす。普段は意志が強く自信満々に見えるだけに、彼女の自己肯定感を下げるような反応をしてしまったのかと不安になる。

 「自分のことへたくそって言わないでよ」「そりゃ言いたくないけどさ、でも言わなきゃ言葉になんないじゃん」。大人びた言い回しで返してくる。そして数秒おいて付け足す。「へたくそではないけど失敗なんだよね、失敗ばかりしてる」。胸が痛む。あのさ、失敗っていうけど、成功ってなんなの? 自分が思ったようにできなくて悔しいっていうのはあるかもだけど、それって失敗じゃなくて違ったってだけじゃん。それに思ったのと違って面白いってことだってあるでしょ。と、こちらもムキになってしまう。

ママ友が「それって周りに目がいくように…」

 1歳上の女の子のいる友人にそのことをこぼすと、そういう時期あったよ、と教えてくれた。それって周りに目がいくようになったってことらしいよと。自分以外の誰かはあんなふうにできていると認め、それと自分を比べる、ということが特徴的な時期らしい。そういえば最近は私の洋服や歌も、やけに褒めてくれる。これは成長の過程だと思って、今はありとあらゆる方法であなたはこんなところが素晴らしいよ、好きだよと伝えることしかできない。自己肯定、自分を褒めてあげること、親も子も今同じ壁と向き合っているのかもしれない。 (ミュージシャン)

コメント

  • ちょうど5歳になった息子に同じような事があり、親はどうしたらいいんだろうと思っていました。美雨さんの記事を読み安心しました。成長を見守ります。ありがとうございます。
     
  • 躾は つのつく時までと 昔から言います 9つ 9歳までです! 親の考え方 捉え方 言葉の返し方 で 決まるのです! 難しいようですが? 又 失敗しちゃった! 「ここをこうすれば良くな