〈坂本美雨さんの子育て日記〉38・子どもたちにならって、この状況を乗り越えたい

(2020年3月13日付 東京新聞朝刊)
子育て世代がつながる

坂本美雨さんの子育て日記

写真

2月22日の「ネコの日」に、全身ネコ柄でネコイベントへ

初めて聞かれた「今、何時?」…あれっ? 

 先日、娘と午後3時ごろから遅い昼寝をし、熟睡してしまった。目覚めたらもう部屋は薄暗く、夕方5時すぎ。不思議と同じタイミングでふっと起きた娘が「今、何時?」と聞いた。あれっ?と小さな驚きを覚えた。目覚めてすぐに時間を聞かれたのは初めて。彼女の中で、時計が読める読めないだけではない、時間の感覚が目覚めている。


〈前回はこちら〉ママは知ってるよ、あなたの優しい心 もっと素直に出せたら…


 どれだけの間眠っていたか、何時だから今からなにをするのか。過去や未来という概念や、なにか(例えばご飯やお出かけ)に向けて計画的に行動すること、さまざまな社会的な概念が「今、何時?」という一言にひもづいている気がして、感慨深いものがあった。

最近覚えた「コロナ」 “シュッ”も楽しむ

 娘が最近覚えた言葉は「コロナウイルス」だ。やけにハッキリと発音するのを聞くと胸がチクッとする。本当ならウイルスの名前なんて覚える必要ないのにな、と思う。けれど、子どもの心理に詳しい出口保行先生とお話しした時、事態を丁寧に説明すると、小さな子どもでも理解して、その制限の中で楽しみを見つけるようになるよ、と教えてくださった。

 たしかに娘は、保育園でコロナウイルスの絵を描いてもらって覚えたり、除菌のシュッが気に入ったようでうれしそうだ。しっかり小さな楽しみを見つけている。

 急な休校を宣言された子どもたちが大荷物を抱えて下校していたのは、この春の忘れがたい光景だ。混乱の中、とにかく目の前の現実をなんとかしなくちゃと「自宅保育」のタッグを組み合う周りの母親たち。平静を保ち、にこやかでいてくれる保育園の先生たち。

想像力を働かせて、お互い寛容でありたい

 東日本大震災の後のような漠然とした不安に包まれているなか、できることとできないことを判断し、前向きでいるよう努めている。そして飛び交う情報に振り回されずに真実を見極める動物のようなアンテナを立てている。

 けれど、頭では割り切れていても、簡単に心は付いてこないこともある。さまざまなライブイベント自粛はやはり残念で悔しいし、音楽業界にとって死活問題でもある。また普段気の合う近しい人であっても、こういった特殊な状況では意外な反応があったり、価値観の違いが浮き彫りになることもある。

 いつまで続くのかわからないけれど、最大限の想像力を働かせ、お互いへ寛容でありたいなと思う。子どもたちにならって、ちゃんと暮らしを楽しみながら、乗り越えたい。(ミュージシャン)

すくすくボイス

この記事の感想をお聞かせください

いただいた投稿は、東京すくすくや東京新聞など、
中日新聞社の運営・発行する媒体で掲載させていただく場合があります。

あなたへのおすすめ

PageTopへ