〈中倉彰子さんの子育て日記〉51・諦めない!成長したね

(2017年1月27日付 東京新聞朝刊)
子育て世代がつながる

中倉彰子さんの子育て日記

気になるトロフィー

 前回、シン(6つ)が「子ども大会に出る!」と宣言したことを書いた続き。その後、小学生名人戦の多摩地区予選に申し込みをしました。大会に参加となると私もシンもやる気になり、家で将棋を指す回数が増えました。

 大会当日は名人クラスと、交流戦A、Bに分かれ、シンは級位者が集まるAに参加。入賞者には賞品が出ますが、中でもシンはトロフィーが気になっているようです。会場には審判長として中村太地六段と増田康宏新人王が来場していて、みんな「わー」という憧れの視線。プロ棋士の存在って、子どもたちに夢を与えるんだなーと思いました。

 シンの1回戦の相手は5年生の男の子で、扇子を手に持ち、いかにも強そうです。遠目にはシンが相手陣地に手を伸ばしているので「お、攻めているのかな?」と思いましたが、その後あっさり負け。3連敗したところでイヤになっていないか心配で「もう帰る?」と聞くと「ダメだよ。5回やるよ」と答え、トロフィーや賞品が並ぶ机の所に行って「あと2回勝てば、これもらえる?」と聞いてきます。残念ながらトロフィーはすでに手が届かないので「頑張ったらママ賞がもらえるよ」と、その場をしのぎました。

 お昼休み、練習将棋を指していた1人のお兄ちゃんにシンとの対戦を頼んでみると「いいですよ」とのお返事。4局くらい指してもらい、そのお兄ちゃんから「じゃあ、頑張ってね」と応援され午後の対局に向かいました。

悔しいに決まってる!

 しかし、善戦むなしくその後も連敗。最後の対局を終えると、早く会場から出たがりました。「悔しかったね」と言うと「悔しいに決まってるじゃん!」と私に当たってきます。約束していたママ賞のご褒美をコンビニで買ってあげて、その後、パパに報告の電話をしました。「シン。勝ち負けなんて気にしなくていいんだぞ。よく諦めないで5回指したよ。偉かったな」とパパ。シンの目から涙がポロポロこぼれ、私もうるっときました。

 子どもの切り替えは早いもので、その後すぐに買ってもらったオモチャの箱を開けてシンはニッコリ。家に帰ってからネット将棋を指したがり、負けて将棋をイヤにならなくて良かったとホッとしました。家に帰るとお姉ちゃんたちに「こんなふうにシンが指したら、相手はこんなふうにきたんだよー」と解説していました。甘えん坊のシンの成長した姿。うれしかったです。(プロ棋士)

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