〈奥山佳恵さんの子育て日記〉27・初体験した怖い思い「次男がいない!」
ヤンチャボーイ・ナンバーワン&ツー
次男の美良生(みらい)を、初めて叱りました。目を離したスキにいなくなってしまったのです。心優しきお友達2人を引き連れて。
その日は自宅に男女8人のお友達が遊びに来てくれました。1人での下校にもすっかり慣れた美良生ですが、教室をはやてのごとく飛び出す男子群と比べると、のんびり、ゆっくり。なので、この日も最初に家のチャイムを鳴らしたのは元気いっぱいの男子たち。「遊びに来てくれてうれしいけど、美良生はまだ帰ってないんだ」と笑い、一緒に美良生を迎えに行きました。
下校中の美良生に一番親密に駆け寄ってくれるのは、同学年で1、2を争う活発でヤンチャな子です。同学年の中でもリーダー格としてトップを争う男子が、トップから最も縁遠い美良生を慕ってくれるのはどうしてなんだろう? 私もうれしいのだから、美良生はもっとうれしいはず。両脇にヤンチャボーイ・ナンバーワンとツーを従えて帰宅し、そこからテンションは、ずっとトップギア。今思えば、あのテンションの高さが今回の事件を招いたなぁ。
暗い町中で 絶望、安堵…からの怒り
「公園に行こうー!」。美良生はナンバーワン・ツーと手をつなぎ、公園とはあらぬ方向へ。「そっちじゃないよ」。2人の声なんて届かない。ハチャメチャな道を進む美良生に従順についていくワンとツー。なんて優しい子たちだろう。私も後を追い、なんとか公園へと導きましたが、その直後「美良生暴走列車」はワンとツーを乗せたまま、どこかへ走り去り…。
冬の夕方。日が落ち、辺りはあっという間に闇の中。一緒に遊んでいたお友達に解散を告げ、ワンの母に連絡をする。どうしよう。いなくなってしまった。景色も気持ちも目の前は真っ暗。数人の母たちと周囲を探す。暗い町中で「いなくなった子ども」を探すという行為は、心細くて、絶望に満ちて、震えて…。
ワンの母から「3人が家に戻った」と連絡が入り、すっ飛んで3人の姿を確認。安堵(あんど)と同時に、それまでの不安が怒りに変わるのが分かりました。お友達やお友達の母に平謝りし、みんなの前ではなんとか平静を保って帰宅。その後、母の顔は鬼の形相です。
初めて経験した怖い思い。美良生にとっては大好きなお友達とのワクワクの冒険だったかもしれないけれど…。子育ては、時にヒヤヒヤも味わうことを久しぶりに思い出しました。夫に伝えたら、叱ったことも失踪も「初めてじゃないよ」と笑われましたけど! (女優・タレント)