外国人の子どもの不就学問題 政府が自治体に名簿の作成促す 「就学の義務化必要」との指摘も

(2020年1月8日付 東京新聞朝刊)
 政府は2020年度から学齢期の外国籍の子どもが学校に通いやすくするための支援を強化する。義務教育年齢の外国籍の子どもの名前を記載した「学齢簿」の作成を自治体に促すほか、就学状況調査や戸別訪問に取り組む地域の先行事例の共有を進める。専門家からは実効性に疑問があるとして、就学の義務化を求める意見が出ている。

転入手続き担当と教育委員会連携を

 政府は昨年末、外国籍の子ども約2万人が学校に通わない「不就学」状態で放置されている現状を受け、関係閣僚会議を開催。「外国人児童生徒の就学機会の適切な確保」を明記した就学促進策をまとめた。促進策では、外国籍の子どもの状況を把握して就学に結びつけるために、自治体の転入手続き担当部署と教育委員会の連携を促した。学齢簿の作成が念頭にある。外国人が多く住む地域の独自の取り組みをまとめた冊子を全国の自治体に配ることや、外国人学校やNPOと自治体との連携支援も進めるとした。

就学は義務ではなく自治体の判断

 ただ、外国籍の子どもの就学は法律上の義務ではなく、自治体の判断に委ねられている。異文化教育や多文化共生の専門家からは、先進事例が各自治体に広がるかどうか見通せないとして、就学義務化が必要だとの声が相次いでいる。

 松尾知明法政大教授は12月17日の文部科学省の有識者会議で「何らかの就学義務を考えるのかも含め、制度改革について真剣に議論してみてはどうか」と提言した。オチャンテ・村井・ロサ・メルセデス桃山学院教育大講師は、15歳で来日した経験を踏まえ、外国にルーツを持つ子どもたちの就学を保障する必要性を訴えた。 

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2020年1月8日