広がる「休校やめます」 栃木・茂木町が通常授業へ  新型コロナ「学童の人数増えれば逆に感染」 登校日を設ける自治体も

原田拓哉 (2020年3月5日付 東京新聞朝刊)
 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う政府の休校要請に対し、栃木県茂木町(もてぎまち)は10日から予定していた町内の小中学校5校の臨時休校を取りやめ、通常通り授業を行うことを決めた。茂木町教育委員会は「児童生徒の精神衛生上、また健康・安全を確保する上でも学校で過ごすことが最適と判断した」としている。 

学習の遅れや生活リズムの乱れ防ぐため

 茨城県常総市も4日、学習の遅れや生活リズムの乱れを防ぐため、市内の小中学校で3日間の登校日を設定すると発表。安倍晋三首相の要請とは異なる判断を各自治体が取り始めた。

 首相は先月27日、全国一律の休校を要請。突然の政治判断に批判が相次いだため、翌28日に「各学校、地域で柔軟に判断いただきたい」と述べ、学校の設置者である各自治体に対応を「丸投げ」した形になっていた。

学童に詰め込めば、かえって感染の危険

 茂木町によると、保育園や幼稚園が通常通り運営されているほか、家庭によっては臨時休校で子どもだけで過ごさなければならない状況が発生。放課後児童クラブ(学童保育)の受け入れ人数が増えれば逆に感染が懸念されることなどから、臨時休校の方針を再検討。各学校の校長やPTA会長などの意見を聞き、方針転換を決定した。

 感染防止を理由に学校へ連絡した上で休んだ場合は、欠席扱いはしない。ただ、町内や近隣市町で感染者が発生した場合は、臨時休校するという。卒業式は予定通り9日に行う。同町は政府の要請を受け、町内の小学校4校、中学校1校について先月28日、10日~24日まで臨時休校することを決めていた。

大田原市、太田市、埼玉県などでも見送り

 一方、文部科学省は4日、休校を見送る方針を示しているのは同日午前8時時点で、栃木、群馬、埼玉、京都、兵庫、岡山、島根、沖縄の8府県で計399校に上るとする調査結果を発表した。休校している市町村立小学校が全体の98.8%、市町村立中学校と都道府県立高校がそれぞれ99.0%。私立は調査中の東京都などを除いた集計で、これから休校する学校も含めて小学校が89.9%、中学校が91.7%、高校が92.8%。国立小中高校は100%が休校だった。1都6県では、小中学校の休校を見送ったのは栃木県大田原市、小学校の休校を見送ったのは群馬県太田市、特別支援学校の休校を見送ったのは埼玉県だった。