脳の働きをよくする朝ごはんって、どんなメニュー?
1万人の中で「最優秀賞」紗羅さんの朝食は?
毎朝6時。愛知県あま市の中学1年生、品川紗羅さん(12)は、両親と3人で食卓を囲む。並ぶのは、納豆とオクラのあえ物、旬のスナップエンドウの炒め物など和のおかずとみそ汁、ご飯、ヨーグルト。
「朝ご飯は眠くても疲れていても絶対に食べる」と紗羅さん。野菜はあまり好きではないというが、母親で管理栄養士の舞さん(45)は「栄養価の高い小松菜にチーズを加えて臭いを抑えるなど、朝からたっぷり食べてくれるよう工夫しています」と言う。
紗羅さんは昨年、愛知県教育委員会の朝食献立コンテストで、応募した小学5、6年生約1万人から最優秀賞に選ばれた。地元野菜の小松菜入りの焼きおにぎりなどのメニューを考え、最終審査では自分で調理。手軽に作れて栄養バランスに優れている点などが評価された。県は小学生の朝食欠食割合(5年生)を、2015年の1.8%から20年までにゼロにする目標を掲げており、コンテストもその一環だ。
文科省調査で大きな差「食べないと脳がガス欠」
文科省も毎年、全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)で朝食が学力に及ぼす影響を調査している。昨年4月実施のテストでは、小6の算数Aで「毎日食べる」の平均正答率が79.2%だったのに対し、「全く食べない」は60.1%、中3の数学Aでは「毎日食べる」が64.9%、「全く食べない」は45.8%だった。
「朝食を食べないと脳がガス欠状態で本来の80%ほどの力しか出せず、積み重なると学力低下につながる」。本紙で隔週水曜日に「脳トレで頭すっきり」を連載する東北大加齢医学研究所の川島隆太教授は指摘する。
炭水化物だけじゃダメ!リジンとビタミンBを
さて、脳の働きをよくする朝食とは、どんなメニューだろうか。脳のエネルギー源とされるブドウ糖は、ご飯やパンなどの炭水化物に含まれる。しかし「おにぎりや菓子パンだけではだめ」と川島教授。脳がブドウ糖を有効に使うためには、豆類に多く含まれる必須アミノ酸の「リジン」と「ビタミンB群」を組み合わせることが重要だ。
リジンは納豆や豆腐、卵黄や乳製品などに、ビタミンB群は豚肉にそれぞれ含まれる。川島教授が例として薦めるのは「ご飯と豚汁、サラダ、納豆」。ご飯の方がパンよりブドウ糖の血中濃度が長く保たれるという。前の晩のおかずを残しておいたり、作り置きしておけば負担も少ない。
共働き家庭が増え、低年齢の子どもの半数が朝食を一人で食べているという調査結果もある。川島教授は「家族と一緒に食べると、子どもの学習意欲が上がる。朝こそ、家族で食卓を囲んでほしい」と話す。