千葉・君津市の中学校でタブレット授業公開 生徒の回答がすぐ大型画面に!「端末だと発表しやすい」

山田雄一郎 (2020年10月27日付 東京新聞朝刊)

公開授業でタブレットを操作する生徒たち=いずれも千葉県君津市坂田の市立周西中学校で

 学校教育のデジタル化を進めるため、千葉県君津市は23日、同市坂田の市立周西(すさい)中学校(生徒数266人)で、タブレット端末「iPad(アイパッド)」を使った公開授業を実施した。全国の小中学生に1人1台の学習用端末を配備する国の構想「GIGAスクール」の一環。質疑応答で生徒たちの回答が、あっという間に大型モニターに表示されるなど、教育現場の一変を予感させるひとときとなった。

「GIGAスクール」構想の一環で先行導入

 周西中は今月2日に端末を導入、他の中学に先行して操作を学んできた。市は今月末までに、市立中学の3年生と教職員用に約800台を配備。来年1月末までに、小学1年~中学2年の児童生徒と教職員用に約5000台を配備する計画を立てている。

 公開授業が行われたのは周西中の3年2組。総合的な学習の時間に「防災について考えよう」という内容で、石井宏子市長ら市の関係者が見守った。

 担当教師は東日本大震災や昨年秋に君津市を襲った台風15号の映像を流し「幸せな日常を切り裂くのが自然災害の恐ろしさ。日ごろからできる備えは何か」と質問。25人の生徒たちは5班に分かれ、約3分で端末に意見を入力。黒板前に設けた大型提示装置(モニター)には「非常食を用意」「水を備えておく」「身の回りの危険箇所の確認」といった回答が示され、各班代表が読み上げた。回答に顔文字やフリー素材の画像を添付し、笑いを誘う班もあった。

モニター上で各班の意見を紹介する生徒たち

「いつも発表しない人も発表しやすい」

 授業終了後、坂井こころさん(15)は「いつもの授業で発表する人もしない人も(端末だと)発表しやすい。分からない漢字があってもタブレットならすぐ探せる。これからの授業が楽しみ」と話した。

 市によると、5年間の総事業費は国の補助金を含め約7億円で、端末はリース契約で導入する。さまざまな事情で登校できない児童生徒のために、家庭に貸し出すモバイルルーターを準備することなども考えている。