りゅうちぇるさんも中学を休んでいた 学校に悩む子へ「今の世界がすべてじゃない。自分を愛することをあきらめないで」
中学時代 「普通」を演じ、心は孤独
-幼いころはどんな子だった?
今と同じでかわいいものが好きで、お姉ちゃんとバービー人形で遊んでいました。友達からは「女みたい」「男が好きなの?」と言われましたが、「これが僕だし」と小学校まで貫いていました。それが中学校で厳しい上下関係なども出てきて、変わりました。
派手なリュックとか時計を身に着けていたら、先輩から調子に乗っていると目を付けられて。このまま自分らしくはいられないと、みんなに合わせた「普通の男の子」を演じ始めました。わざと低い声でしゃべったり、本当はディズニーの歌が好きだけど、はやっていたラップを練習したり。日焼けして眉を細くして。
孤独になりたくないって自分を隠していたんですけど、結局、心は孤独だった。めっちゃ男らしく生まれたら良かったのにって毎日思ってた。当時は一生自分を隠さなきゃいけないなって思っていました。
休んでも、親は気持ちを察してくれた
-学校を休むことはあった?
中1と中3は休んでいました。自分を愛せないから人も愛せなくて、先生も嫌いだった。だから、よく一人でカラオケで好きな曲を歌ってすっきりしてました。今振り返ると、なんか、いいんじゃないかなそういうのもって思います。
親は僕の気持ちを察して「りゅう、ドライブ行く?」って平日の朝に誘ってくれていたんですよ。子育ての仕方として間違ってるのかもしれないけど、僕はすごい助かってました。休まないで行きなさいってタイプではなかった。ただ高校だけは卒業しなさいって。愛を感じました。
高校から自分を出した 引っ越しも
-高校からは?
やっぱり変わりたい、楽しくないっていう思いがあったので、高校からは自分を出そうって決めて、引っ越しまでして地元の友達が一人もいない学校へ入学しました。入学式から、そばかすを描いて個性全開で、高校はすごく楽しかった。中学時代の友達からは「あいつやばい」と悪口を言われましたが、もう関わらないって割り切っていたので。
-今自分を偽ってしまっている子へ伝えたいことを。
学生のうちって学校が人生、社会全部。僕もそう思ってた。スクールカースト(教室内の序列)の上にいる子はずっときらきらして、イケてない子はずっとそうだって思ってた。だけど学校って特殊なルールがある場所で、それでなじめなかったりしても、社会ってまた全く違うルールがある。だからほんとに大人になった時の希望を忘れないでほしいです。社会には個性が必要。自分を愛することは絶対に諦めないでほしいですね。
“運”もある だから自分を責めないで
-不登校について考えることは。
こればっかりは運で、原因が相手にあるかもしれないし、違う学校だったら不登校じゃなかったかもしれない。だから、あまり自分を責めないでほしいです。ただ自分に原因があると分かった時は、しっかり自分を見つめ直すのも大切だと思います。不登校って結構、一番柔らかく考えなきゃいけない分野だと思う。親も子も。
-父親になり、教育について考えるように?
ものすごくなりました。息子が今プレスクールに通っているんですけど、息子だけ全く違うものを作ったりするんですね。でも先生が「わあすてき」って褒めて認めてくれて、息子もさらにわくわく。ああ人ってこういうふうに成長したら、どんだけ幸せで才能を伸ばせるんだろうって思いました。
でも協調性も必要で、どちらが良いっていう単純な話じゃない。めりはり付けて、ここはいいんだよ、でもここは合わせようっていうのを伝えたいです。
学校現場って一人一人に対応できる余裕なんてなくて、それは仕方ないとも思うから、家では「そもそもこれってこの子にとって本当にだめなこと?」ってしっかり考えながら子育てしたいと思っています。子どものためにも、自分を愛して偽りなく生き続けたいです。
りゅうちぇる
1995年9月29日、沖縄県生まれ。本名は比嘉龍二(ひがりゅうじ)。高校卒業後、東京・原宿の洋服店で働きながら、読者モデルとして活動。2015年、当時恋人の女性モデルのぺこさんとテレビ番組に出演したのを機に有名に。2016年にぺこさんと結婚し、2018年7月、長男が誕生。子育てに熱心なことが評価され、2018年の「イクメン オブ ザ イヤー」に選ばれた。
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