埼玉・羽生実業高校の生徒が養蜂に挑戦 怖さもあるけど…「いろんな人に食べてほしい」
寺本康弘 (2021年9月8日付 東京新聞朝刊)
埼玉県羽生市特産のハチミツを作ろうと、市内にある県立羽生実業高校の生徒たちが本年度、養蜂に挑んでいる。生徒たちはハチの怖さと闘いながら、巣箱の状態をそっとのぞいている。
フジや菜の花 地域資源を生かす
養蜂は市観光協会所管の「全国まちづくり交流協会」と、スマート農業を研究する「ワイズ技研」(東京)との産学官連携事業。市内には大天白神社のフジや利根川沿いの菜の花など花々が多く、協会がそうした地域資源を生かせるハチミツ生産を企画し、同校に協力を依頼した。
作業するのは同校農業経済科環境資源コースの生徒たち。地域の特産物や農業について学んでいるが、ハチの世話をするのは初めてだ。飼育するセイヨウミツバチや用具は同社が用意し、同社とつながりのある養蜂家や東京農大の学生が技術的な援助をしている。
生徒は毎週1回、同校の実習場に設置した巣箱を開けて巣枠を取り出し、ミツの量やさなぎ、幼虫の成育状況を確認する。1学期は3年生が担当し、2学期からは2年生が引き継いでいる。今月6日には、初めて体験する2年生が防護服に身を包んで作業にあたった。約4万匹いるミツバチの「ブーン」という羽音におびえながら、おそるおそる巣箱に近づき、慎重に巣枠を取り出した。
「触ると反応して、かわいかった」
鈴木真咲樹(まさき)さん(16)は「ハチは怖かったけど、巣枠を取り出すときにつんつんと触って合図をすると、ハチが反応してどいてくれるのがかわいかった」と話した。既に採ったハチミツを味わったという山崎陸空(りく)さん(16)は「市販のハチミツより後味がすっきりしていて食べやすい。いろんな人に食べてもらえるようにしたい」と意気込んだ。
協会によると、来年にも一般向けの販売を目指し、市のふるさと納税の返礼品に採用されることも視野に入れている。また、将来的には同社の先端技術で巣箱にセンサーを取り付け、効率的な管理も研究する。