府中のシンボル、ケヤキ並木を都立農業高校の生徒が守る 市と景観保全の連携協定

服部展和 (2021年3月6日付 東京新聞朝刊)
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馬場大門のケヤキ並木で種を採取する都立農業高校の生徒ら=2017年12月撮影

 国の天然記念物に指定されている東京都府中市の「馬場大門(ばばだいもん)のケヤキ並木」を地域が一丸となって守っていくため、近くの都立農業高校が5日、景観保全に向けた連携協定を府中市と締結した。生徒たちで取り組む苗木の育成などの活動に地元の小中学生らに参加してもらい、次世代の担い手も育てる。

国の天然記念物 樹齢や環境悪化で減少

 府中市のシンボル、馬場大門のケヤキ並木は京王線府中駅西側の南北約600メートルの区間にある。平安時代に源頼義、義家親子が前九年の役での戦勝祝いに1000本を寄進したとの伝説がある。1924年にケヤキ並木として唯一、国の天然記念物に指定された。

 天然記念物になった当時は約60本だった並木は、その後の植樹で約120本に増えた。ただ、樹齢を重ねたことや環境悪化による枯死、樹勢の衰えに加え、台風による倒木もあって最近は数が減りつつある。

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種から育てて補植したケヤキの苗木=5日、府中市で

景観を保つため、落ちてきた種を苗木に

 都立農業高校の生徒たちは2017年、落下した種を採取して苗木を育てる活動を始めた。現在も約40人が取り組んでいる。枝が広がりすぎず、真っすぐと伸びているのが馬場大門のケヤキ並木の特徴で、府中市の担当者は「景観を保つには、同じ並木の種から育てた苗木を植えるのが最適だ」と話す。

 現在は、20本以上の苗木を育てている。今月2日は並木の南端近くで枯死して伐採されたケヤキの隣に初めて高さ約3メートルに成長した苗木1本を植えた。並木の歴史や保全活動について記した看板を設置し、9日に披露する。

 今秋からは、地元の児童・生徒に、植樹した苗木の水やり、種の採取などの活動に参加してもらうことを計画している。斎藤義弘校長は「活動を通して、貴重なケヤキ並木があることを誇りに感じ、守り続けてほしい」と話した。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2021年3月6日

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