性に悩む中高生へ、野原くろさんが描くLGBTQのコミックエッセイを届けたい 学生らが制作資金を募集中
奥野斐 （2021年12月12日付 東京新聞朝刊）
LGBTQのコミックエッセー制作に関わり、作品のイメージイラストを持つ学生ら＝文科省で
性的少数者（LGBTQ）に関するコミックエッセイを作り、中高生など若い世代に届けようと学生と支援団体がインターネットで資金を募るクラウドファンディングを始めた。2022年2月末までに150万円を目標に集め、来春の書籍発行を目指す。学生らは「分かりやすい漫画で、性に悩む若者をはじめ、親、先生らにもポジティブな情報を伝えたい」と意欲を見せる。
来春発行へ 全国の学校や高校に届ける
企画したのは、LGBTQの情報発信や相談を行う任意団体「プライドハウス東京」のメンバーと、思いを同じくする学生有志。
学生たちは、文部科学省のキャンペーン「トビタテ！留学JAPAN」で派遣された留学生が多く、LGBTQ関連の法整備や相談窓口設置など各国で見たり聞いたりした先進事例などを、コミックエッセイの話に取り入れたい考えだ。
物語は架空の高校を舞台に、性のあり方に悩む生徒らの初めての告白（カミングアウト）や、理解者との出会い、葛藤などを描く。作品は漫画家・作家の野原くろさんが担当。LGBTQの基礎知識や相談支援窓口などの情報も添える。在日英国大使館も資金などで協力し、完成後は全国の学校や図書館に届ける。
文科省で会見 多様な生き方を前向きに
企画参加者の会見が今月1日、文部科学省で開かれた。大学3年の中岸巧さん（22）＝埼玉県＝は、自身の性のあり方に悩み、学校で孤立した経験を振り返り「中高生の心の支えとなる本を届けたい。彼らを取り巻く多くの人に、多様な生き方を前向きに考えてもらえるように伝えられたら」と話した。
プライドハウスのスタッフで元小学校教員の小野アンリさんは、全国の学校に本を届けることで「日本のどこに生まれても、安心安全に育っていける環境づくりにつなげたい」と語った。
支援はクラウドファンディングサイト「GREEN FUNDING」で2022年２月28日まで受け付けている。