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LGBTの子どもが悩むこと、周囲の大人ができること 当事者の遠藤まめたさんに聞く

 東京都渋谷区、世田谷区などの「同性パートナーシップ制度」の広がりや、著名人のカミングアウトなどで、性的マイノリティーを指す「LGBT」という言葉を耳にする機会が増えました。一方、「身近にはいない」と、どこか人ごとに感じてしまう人もまだ少なくないのでは。LGBTは40人クラスに少なくとも1人程度はいると言われていて、性別に違和感を持ったり、悩んだりしている子どもは、親や祖父母、先生など周囲の大人の何げない言動に傷付くことがあります。そうした子どもたちに大人はどう向き合えばいいのでしょうか。若い当事者を支援するトランスジェンダーの遠藤まめたさん(31)に聞きました。

遠藤まめたさん

見分けるのではなく、子どもの気持ちを尊重する

―同性愛者や、生まれた時の性別と自認する性別が異なるトランスジェンダーなど、LGBTへの認識は広がりつつあります。

 自分は兄2人の下に生まれた、親にとって待望の女の子でしたが、物心つくころからリカちゃん人形が苦手で、スカートは嫌。「女ではない」と思って子ども時代を過ごしました。小学校の作文の時間に原稿用紙に「わたし」と書けずにかたまったこともあります。高校の時、「セーラー服をズボンに替えたい」と訴えると、先生は「思春期の勘違いじゃないかな」と言い、絶望的な10代でした。今はLGBTの情報や知識が格段に増えて、若い当事者の集まる場でも、学校で望む性別の制服に替えてもらったなど、いい話も聞くようになりました。

 ただ、今も中学校の教科書には「思春期になったら異性にひかれる」といったことが書かれていて、家族が描かれる時も、ひとり親や同性カップルは出てきません。日本社会はLGBTがいない前提で動いています。そうした中で、いじめられたり、不登校になったりと悩んでいる子も多くいるのが現状です。

―親や学校の先生、保育士など、周囲の大人が気を付けることはありますか。

 LGBTかどうかを見分けることはできないし、する必要もありません。LGBTに限らず、すべての子が好きなことを伸び伸びできて、気持ちが尊重されることが大切です。

 早い子は、保育園や幼稚園の時に性別への違和感を持ちます。男子だからと人形遊びを止められるなど、好きに遊ぶことを許されない子もいます。好きなおもちゃや服などを、頭ごなしに「おかしい」と否定しないでほしいと思います。

 子どもは大人をよく見ています。大人が「オネエキャラ」と呼ばれる人たちをからかうようなテレビ番組を見て、それに同調していたら、悩んでいる子どもは言い出しにくくなります。「こういう生き方もあるよね」と多様な性について好意的な反応をしたり、一緒に本を読んで学んだりしてほしいですね。

社会にあふれる「男女分け」必要なのか考え直す

―自分の子がLGBTかも、と思ったらどうすればいいのでしょう。

 特に小学生以下の場合、性別への違和感は継続しなかったり揺らいだりすることもありますが、今、目の前にいる子どもの気持ちを尊重することが、その子の自尊心を育てることにつながります。

 あとは、家族が抱え込まないこと。昨年から15歳以下の子どもと家族の交流会を始めましたが、家族も周囲の無理解に悩んだり、孤立したりしやすいです。家族間でも受け止め方が違うこともあります。専門の相談支援機関や自助グループを活用するのもよいでしょう。(遠藤さんが世話人を務める10代~23歳の当事者の居場所「にじーず」のサイトに他団体紹介があります)

―他にできることはありますか。

 社会にあふれる不要な男女分けを見直すのも重要です。餅つきで、男子はきねをつく役、女子は餅を返す役と決めていた幼稚園がありましたが、必要でしょうか。良い例では、誕生日にもらえるメダルのリボンを男の子は青、女の子はピンクにしていた保育園が、いろいろな色から子どもに選ばせるようにしました。その方がLGBTに限らず皆が喜びます。

 海外では、英王室のウィリアム王子がゲイ雑誌の表紙を飾るなど、影響力のある人がLGBTに好意的な発信を始めています。日本のドラマやアニメも、同性愛などを扱い出していて、子どもの方が詳しく柔軟です。むしろ大人から多様な性を話題にしてみてもいいかもしれません。子どもに学ぶことも多いはずです。

えんどう・まめた

 1987年埼玉県生まれ、横浜市在住。戸籍上は女性だが、男性として生きるトランスジェンダー。著書に「先生と親のためのLGBTガイド もしあなたがカミングアウトされたなら」(合同出版)、「オレは絶対にワタシじゃない-トランスジェンダー逆襲の記」(はるか書房)など。10代~23歳の当事者の居場所「にじーず」を毎月1回、東京・池袋で開催。15歳以下の子と家族の交流会「にじっこ」も開く。

遠藤まめたさんの著書「オレは絶対にワタシじゃない-トランスジェンダー逆襲の記」(はるか書房)

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