東京都の浜教育長 都立高の男女別定員制は「必要ない」廃止を明言 英語スピーキングテストは予定通り11月実施へ
時期は明言せず「困る子出ないように」
浜さんは、女性初であることに「あまり意識しない。ただ、いろんな視点を持った人がいる方が多角的に検討ができていいと思う」と語った。
東京都は全国で唯一、都立高の全日制普通科の定員を男女別に設定。同じ高校の入試なのに女子の方が合格最低点が高い傾向にあり、不公平との指摘がある。都教委は昨年9月、段階的廃止の方針を示し、今年2月の入試では、定員の1割を性別に関係なく得点順で合格にする緩和策を対象となる全校で実施した。
浜さんは、廃止時期は明言せず、私立の女子校が多い都内の事情をふまえ「例えば男子生徒が行くところがなくならないよう、制度変更により、困る子が出ないようにする配慮もいるのでは」と慎重に進める考えを明らかにした。
男女別出席簿 区市町村に働きかける
出席簿については、東京新聞が今年1~2月に島しょ部を除く都内の区市町村と首都圏6県の政令・中核市計68自治体の各教委に聞いた調査で、特に多摩地区の中学校で男子を先にした男女別出席簿の使用が半数以上だった。
浜さんは、都立学校は男女混合出席簿だとした上で「男女に分けなくても適切に教育はできるはず。必要な時は別の名簿を作って対応できている実例もある」と指摘。都として「男女に分けないことの効果を説明し、区市町村に周知を図る」と話した。
東京都は2002年、公立小中学校の男女混合出席簿の導入推進を掲げたが、その後、計画から削除。当時の「ジェンダーフリー」へのバッシングが及んだ形だった。
公平性を疑問視する声もある英語スピーキングテスト「計画を見直す必要はない」
「文法通りでなくても」という成功体験を
-大切にしたい姿勢は
都立学校は教職員6万人、子ども10万人の巨大な組織。いかに一体感をもって取り組むかが大切だ。誰1人取り残さないという目標に向け、大人の事情ではなく子どもにとって何が1番良いのかを第1の判断基準にしたい。
-取り組みたいことは
子どもたちがいる時間が1番長いのは学校。「学校とつながっていれば子どもたちは大丈夫」と思えるように対応していく。英語教育やデジタル化への対応とか、われわれが子どもの時と違って、大人になるまでに経験させてあげなくちゃいけないことが増えている。後れを取らせないように機会を与えたい。
-昨夏のパラリンピック学校連携観戦は、コロナ下で教育委員の半数以上が反対する中で行われた。同じような場面が来たらどう対応するか
委員と相談して決めるべきことと、実務的に判断をしてご報告することは、教育行政に限らずある。説明で足りるのか、相談するのか判断していく。そうおっしゃる委員が多かったということは、コミュニケーションが十分ではなかったのかもしれない。
-英語のスピーキングテストでは中学生にどんな力を身に付けてほしいか
しゃべろうと思えばしゃべれるのに周りに日本人がいるとしゃべりたくない人が多いと聞く。ある程度の知識は必要だが、文法通りでなくても通じた、という成功体験や実感を持ってほしい。
-公平な採点ができるかどうか疑問の声もある
記述式試験や面接試験など点数化しにくい試験は他にもある。できる限り公平な採点方法を工夫して準備しているが、よく説明して、実績を積み重ねて信頼を得ていきたい。
-導入時期などを見直す考えはあるか
見直す必要はないと思っている。テストの結果を来春の都立高入試で活用する方針も変わりはない。
浜佳葉子(はま・かよこ)
水道局長から4月1日付で東京都教育長に就任。任期は2024年3月末まで。1985年に東京都庁に入庁。港湾局総務部長、政策企画局理事、選挙管理委員会事務局長、生活文化局長などを歴任した。
コメント