「子どもの権利条約」って知ってる? 小学生が「全文を教科書に載せて」と訴えた、社会に広めたい理念

(2022年6月3日付 東京新聞朝刊)

「子どもの権利」を考える絵本「きかせてあなたのきもち 子どもの権利ってしってる?」(長瀬正子・文、momo・絵、ひだまり舎)

 子どもに関わる施策を進めるため、政府が来年4月の設置を目指している「こども家庭庁」。関連の法案には、日本も1994年に批准した国連「子どもの権利条約」の理念が盛り込まれています。東京すくすくでも折に触れ、現状や課題を紹介しています。

 認定NPO法人「フリー・ザ・チルドレン・ジャパン」(東京都世田谷区)による翻訳は、子どもにも分かりやすくおすすめ。54条ある条約でうたう子どもの権利を「生存」「発達」「保護」「参加」の4つに分け、「きみには『子どもの権利』を知る権利がある」「自分の考えや思いを表現する権利がある」など、伝わりやすい表現で紹介しています。

 ウクライナでは軍事侵攻で子どもたちも犠牲になっていますが、条約には「戦争から守られる権利がある」という一文もあります。

 フリー・ザ・チルドレン・ジャパンのメンバーで武蔵野市の小学6年生、出野誠悟さん(11)は小学4年の時に条約を知り、「僕も思っていることを言っていいんだ」と思えたそうです。国会議員との意見交換では「全文を教科書に載せてほしい」と訴えました。もっと多くの子に知らせたい、と考えたからです。

 残念なことに学校の先生でも3割がこの条約の内容を知らない、というデータも。国際非政府組織(NGO)「セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン」(千代田区)が3月、全国の教員に実施した調査で明らかになりました。条約批准から28年。こども家庭庁ができるのを機に、条約の理念が社会に浸透してほしいと思います。