インフル感染が都内で増加 立川の小学校では学年閉鎖 コロナと同時流行の懸念

土門哲雄、鷲野史彦、佐藤航 (2022年6月25日付 東京新聞朝刊)
 東京都内の新型コロナウイルス新規感染者が増加に転じる中、都内の公立小学校で今季初めてインフルエンザによる学年閉鎖があった。都は同時流行への警戒を強め、感染対策の徹底を呼び掛けている。

専門家ら警戒、夏場でも「流行ある」

 都教育庁によると、立川市の小学校で3年生2クラス45人のうち14人のインフルエンザ感染が確認され、21~22日を学年閉鎖にした。都内の公立学校がインフルエンザで臨時休業措置が取られたのは2020年3月初旬以来になる。

 23日の都のモニタリング会議では、専門家から警戒の声が相次いだ。東京iCDC(感染症対策センター)専門家ボードの賀来満夫座長は終了後の報道陣の取材で、日本とは季節が逆の南半球のオーストラリアでインフルエンザの流行が始まっていると指摘。「新型コロナの感染対策により世界的に2年間ほとんど流行がないことで社会全体の免疫が落ちている可能性がある。(日本で)夏場にはやることもあり得る」と語った。

 一方で、都内の1週間平均の新型コロナの新規感染者(22日時点)は前週比10%増の1698人となり、5週間ぶりに増加に転じている。賀来氏は「今後都内でも新型コロナとの同時流行が起こりうるので非常に注意が必要」と呼び掛けた。都医師会の猪口正孝副会長は「(同時流行すれば、インフルエンザとコロナの)2種類の検査をしなければいけなくなり、検査キットやワクチンの準備をお願いしていくことになる」と話した。

手洗いとマスク着用の対策呼び掛け

 都福祉保健局の担当者によると、国内のインフルエンザのワクチンは毎年10月の接種開始に合わせて製造を始めるため、夏場の現在はワクチンがない時期になる。「インフルエンザもコロナと同じく、接触感染や飛沫(ひまつ)感染。手洗いや人がいる場所でのマスク着用といった感染対策をしてほしい」と呼び掛けた。

 新型コロナの感染状況を分析し、厚生労働省に助言する専門家組織「アドバイザリーボード」の座長を務める脇田隆字・国立感染症研究所長は23日、「いったんインフルエンザの流行が始まると広がる可能性もある。まだ国内ではインフルが流行する冬ではないが、動向を注視していきたい」と話した。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2022年6月25日