小学校プールの水出しっぱなしで教諭に賠償請求 抗議100件も…川崎市長が見解「かわいそう、教員不足になるというのと責任は別の話」
北條香子 (2023年8月29日付 東京新聞朝刊)
川崎市多摩区の市立稲田小学校でプールの水6杯分を流出させた男性教諭と校長に、損害の半額に当たる計約95万円の賠償を請求した川崎市教育委員会に抗議が寄せられていることについて、福田紀彦市長は28日の定例会見で「金額の多寡ではなく、あくまで過失行為に対する責任を判断しなければならない」と述べ、請求は妥当との見解を示した。
「高額で、個人負担は厳しいと思った」
福田市長は「(教諭らへの請求額が)高額で驚き、これを個人が負担するのは厳しいと私も思った」と受け止めを示す一方、「高額でかわいそうだとか、教員不足に拍車をかけるのではないかという話と、責任を誰が負うのかというのは全く別の話だ」と指摘した。
「(教諭と校長が損害の半額を負担するのは)気の毒だという風潮になっているが、『全部を税金で負担します』と言ったら、皆さんどう思われるでしょうか。何の関係もない市民一人一人が過失に対して負担するのかという話になってくる」と述べた。
教職員の賠償責任保険は未加入だった
SNSなどでは、今回の件に関連し、教員の労働状況の過酷さを指摘する声も上がっているが、福田市長は「今回の件で教員を目指す人が志望をやめることはないと思う」とした。その上で「教職員を含めて公務員一同、ミスがないように気を付けていかなければいけない」と強調した。
川崎市教委によると、これまでに100件以上の抗議が寄せられ、賠償請求の取り下げを福田市長と小田嶋満教育長に求めるオンライン署名なども実施されている。教諭らは教職員向けの損害賠償責任保険などには未加入だった。納期は9月末で、28日時点で入金は確認されていないという。
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