つらいときは逃げても、怒ってもいい 子どもたちに送る「いろんなきもちあるある 22のメッセージ」

(2023年10月14日付 東京新聞夕刊)

「いろんなきもちあるある 22のメッセージ」から(本の種出版提供)

 「どんなきもちもOK」「怒ることは悪いことじゃない」-。周囲に大事にされていない、相談相手がいないと感じている子どもたちへのメッセージを、杏林大(東京都三鷹市)教授で精神保健福祉士の加藤雅江さんが本にした。いじめや虐待を受けた子どもに向き合ってきた経験から「一人一人を否定することなく、背中を押すような言葉をまとめた」と話す。

否定せずに背中を押す言葉を本に

 本のタイトルは「いろんなきもちあるある 22のメッセージ」(本の種出版)。加藤さんが伝えたい言葉を書き、イラストを精神障害のある親とその子どもらの支援に取り組むNPO法人「ぷるすあるは」(さいたま市)の細尾ちあきさんが描いた。

「いろんなきもちあるある 22のメッセージ」から(本の種出版提供)

 「無理せず充電」「スモールステップで挑戦してみます」など、自分を大切にすることや前向きな姿勢を後押しする言葉が並ぶ。最後は「自分のボートは自分で漕いでいきます」という言葉で、それぞれの船出を応援する思いを込めた。

コロナ禍と物価高が子どもに悪影響 

 加藤さんは病院で相談支援の専門職を務め、今は杏林大で教えつつ、三鷹市で子ども食堂を運営している。長年、いじめや虐待の被害、自殺未遂を経験した子らの話を聞いてきた。「親の顔色をうかがい、気持ちを自覚しないように生きていた子もいた」という。

子どもたちへ伝えたいメッセージをまとめた本を手に話す加藤雅江さん=東京都内で

 最近はコロナ禍や物価高などが大人の余裕のなさに拍車をかけ、子どもへの悪影響を強めていると感じている。本は「困り事や問題が生じる前に、視野を転換できるような言葉を伝えたい。『ウザい』と思われるかもしれないけど、こういうことを言う大人がいてもいいかな」と制作した。

 イラストを担当した細尾さんは「すこしほっこりしてもらえるように、メッセージが伝わるよう意識して描いた。ちょっとしんどいなと思っている若者に手に取ってもらいたい」という。

学校の図書館や保健室に置いて

 子どもが「困ったな」と感じた時にページをめくり、今の自分を肯定できるように、子ども食堂や学童保育施設、学校の図書館や保健室などに置いてもらいたいと願う。加藤さんは「嫌な場所からは離れていいし、怒ったっていい。無理だと思ったら充電すればいい。お気に入りの言葉を探してみて」と話した。

 本は税込み1760円。問い合わせは、本の種出版の電話=03(6425)8860=で受け付ける。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2023年10月14日

コメント

  • 「逃げる」って表現やめてほしいんですよね。「避難」って言ってほしい。逃げると言われると弱い自分が悪いみたいになって、いま虐めにあってる子が避難・相談しにくくなる。虐めとは「子供による子供の虐待」です。
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