かわいい子には…「子どもの旅」 自主性育てつつ安全確保するには?

(2018年7月13日付 東京新聞朝刊)
 もうすぐ夏休み。「かわいい子には旅をさせよ」といわれるように、中学や高校時代の旅は成長のきっかけになることも。だが一人旅や子どもだけの旅は、親には少し心配だ。どうすれば、自主性を育みつつ安全な旅ができるのか。経験者らの話から探った。

行程表があれば安心

 どこで何をしているか分かれば、まめに連絡しなくても大丈夫-。東京都文京区の主婦、小橋美枝子さん(45)は3年前、中学2年だった長男、一慧(いっけい)さん(16)の「行程表」=イラスト参照=を見て思った。友達と2人、大阪の祖母宅へ泊まりにいった時のことだ。

旅の「行程表」。中学2年生だった小橋さんの長男が用意した

 テーマパークを訪れる2泊3日の旅。電車とパソコンの好きな一慧さんは自分で旅程を組み、行程表も作った。子ども用の携帯電話を持っていたが、美枝子さんから連絡することはほぼなかった。トラブルもなく、祖母とお好み焼きを食べるなど「ばあば孝行」もして帰ってきた。

 「表情から充実した時間だったこと、友人との絆が深まったことが分かりました」と美枝子さん。小学6年の時には、移動時間を甘く見て、自転車で約30キロ離れた貯水池へ行き、夜になっても帰ってこられなくなった経験もあるが「失敗も人生の糧になる。引き出しにたくさんのものを詰め、行動に責任を持てる社会人になってほしい」。

宿泊先、どうする?

 宿泊先として安心できる場所の一つがユースホステル(YH)だ。日本ユースホステル協会(東京)広報の池田和誠(かずまさ)さん(36)は「スタッフとの距離が近く、交流スペースや『お茶会』など宿泊者が仲良くなれる場もある。一人旅や友達同士の旅はもちろん、自転車で日本一周しているような子も来ますよ」と言う。

京都市の宇多野ユースホステルでのたこ焼きイベント。地元の大学生や留学生もボランティアで参加した=日本ユースホステル協会提供

 
 会員になれば、国内なら素泊まりで3000円台という宿泊料も魅力。外国人旅行者も多く、池田さんは「さまざまな国や世代、性別の人との出会いによって、人種や宗教などへの偏見を持たない大人になっていくのでは」と話す。
 
 自身は中学1年の頃、父親とインドでキャンプをして旅に魅了された。英語を勉強し、高校3年の夏には1週間、北極圏を一人旅。「短くても自分で計画して『できた』と思える旅は、大きな経験になる」と力を込めた。
 
 YHは子どもでも予約できるが、通常のホテルやパッケージツアーは、未成年の予約は保護者の同意書を求められるのが一般的。海外旅行では、親権者が同行しない未成年の入国に条件を付けている国もある。

それでも注意!「危険は必ずある」 

 最近は会員制交流サイト(SNS)で知り合った同じ趣味の友人などに、会いに行きたがる子もいる。しかし子どもとネットの問題に詳しい兵庫県立大の竹内和雄准教授(生徒指導論)は「危険は必ずある」と強く注意する。
 
 竹内さんによると、多くの子はビデオ通話などで相手と話し、大人の「なりすまし」ではないと確認しているという。だが、その向こうに実際に誰がいるかは分からない。コンサート会場やスポーツの競技場など、人の多い場所で会うという子もいるが、完全に安全が保たれるわけではない。
 
 「何歳なら大丈夫という基準はない。子どもの普段の様子を知る親が、きちんと見極めて」と竹内さん。殺人などSNSを介した重大事件にも触れ、親子でよく話し合うことを勧める。