教員が気づいた「男らしさ・女らしさ」の思い込み 川崎でジェンダーに関する違和感を語り合うイベント
竹谷直子 (2023年12月5日付 東京新聞朝刊)
川崎市内の教員らが集い、男らしさ、女らしさを押し付けられるなど日常の中で感じるジェンダーに関する違和感を語り合うイベント「かわさき~教員×地域の大人」が3日、川崎市幸区のミューザ川崎で開かれた。日ごろ子どもたちに接する教員のほか、地域の大人たちがジェンダーについて理解を深めるのが狙い。9人が参加し、学校や社会の中で感じている悩みなどを話し合った。
「もやもやカード」重なる体験伝え合う
「(相手の配偶者を)『奥さん』『旦那さん』と呼びたくないが、なんと呼んだらいいのか」「仕事で旧姓利用ができなくて困った」。イベントでは、市民の声を採り入れて、ジェンダーにまつわる「もやもや」の事例をカードにした「ジェンダーもやもや発見カード」を使用。カードに書かれた内容に重なる自分自身の体験を伝え合った。
「『イクメンだね』それもう死語かも」というカードに関しては、「親世代がよく使っていて、男性が家事、育児をやっていることを親からすごく褒められる」との意見が。「『ご飯できた?』一緒につくろ」というカードを手にした参加者は、上司に「女性は家庭に入るから、男性にはバリバリやってもらいたい」と言われたことを明かし、「40代の人でもアップデートできていない人もいる」と話した。
男女の色分け、髪型…どう表現すれば?
小学校の養護教諭は、第二次性徴の授業の教材づくりで「男の子と女の子の色分けや髪形など、ジェンダー平等の観点からどう表現すればいいか」との質問があり、色使いを固定しないようにしている事例の紹介などがあった。
高校の養護教諭の香川瑠美さん=川崎市中原区=は「いつも自問自答で終わってしまうが、説明したり話を聞いたりできて、自分に思い込みがあったことに気づかされた」と話していた。
イベントは身体や生殖の知識だけでなく、ジェンダー平等や性の多様性など幅広いテーマを含む「包括的性教育」を広める活動をしている「かわさき包括的セクシュアリティ教育ネットワークCsexlogue(セクソローグ)」が主催。来年7月にも開催予定。